私は結核問題について、現代医学に対し随分思い切って、赤裸々に記いて来たが、之を読んだとしたら、政府当局者も、専門家も、一般人も、余りの意外な説に、恐らく直に首肯する事は出来ないであろう。或人は怪しからんと言うであろうし、或人は宗教人一流の独善論と思うかも知れないし、中には之は大変な説である、若し真実としたら世界的大問題として、真面目に研究しようとする人も現われるであろうが、私としては敢て医学を誹謗する考えは毫もない。只真理を真理として披瀝した迄である。というのは真に人類を救おうとするには、こうするより外に方法はないからである。
何といってもこの著の出現は、人類不幸の根源たる病気滅消の天の時が来ったのであって、之こそ神意の発動でなくて何であろう。したがって既成学理にこだわる事なく、白紙になって読むとしたら、何等の疑念も起らない筈で、信ずるより外はないであろう。そうしてこの真理を神は日本人である私に、初めて啓示されたという事は、まず日本から救いの業を始めよとの意図であろう。としたら現在日本に於ての最大苦悩は結核問題であるから、ここにまずこの著の出版となったのである。とはいうものの現在の日本人も、唯物科学の信奉者になり切っている以上、科学上の新説なら耳を傾けるが、科学以外如何なる立派な説と雖も、最初から否定の眼を以て見るに違いあるまい。而も神とか霊とかいう宗教的臭いがあるとしたら、猶更そうであろうが、併し理論を体系とし、事実を裏附けとして解説してある以上、全然否定の余地のない事は勿論である。そうしてこの実証方法こそ我浄霊法であって、現在凡ゆる病を治し、病人なき家庭を無数に造りつつある、この生きた事実を見ても分る筈である。
最後に浄霊の原理も根本的にかきたいが、之は信者以外第三者としては分り難いから、或程度に止めておくとして、元々この著の主とする処は、医学の盲点を指摘する事と、浄霊の効果を知らすにあるのである。
そこで浄霊法の概略だけをかいてみるが、この方法たるや何等の物質を用いず、患者に対って数尺離れた処から、只手を翳すだけで、それで凡ゆる病気が治る。という訳は掌から光の霊波が放射され、それによって患者の霊の曇りが払拭され、体に映って毒素は溶解排除されるからである。そうして毒素稀薄な場合、大部分は水分となって、漿液中に混入され、濃度の場合は濃い分だけ種々の排泄物となって体外へ出るのである。例えば盲腸炎の激痛の如きは、普通二、三十分で治り、重症となるとそれを二、三回繰返せば半日位で全治する。勿論溶解された毒素は、間もなく下痢となって排泄されるから、全く根治であり、再発の憂いは決してないのである。この事だけにみても現在の医療が手術の苦痛や多くの日数、莫大な費用は勿論、擬似腹膜炎（之は手術後の盲腸部の痛み）や腎臓病の原因をも作るのであるから、我浄霊法と較べたら雲泥の相違であって、この浄霊法こそ最も進歩せる新医術である。そうして今日結核療法に於ては、気胸はじめ種々の手術を行うが、之等も間に合せ手段で、根本的ではないから捗々しく治らないのみか、仮令治るにしても一時的で、再発かそうでなければ弱体者となり、一生壊れ者扱いをされなければならない人間となるのは、医家もよく承知しているであろう。
ここで浄霊の霊波について、概略説明してみるが、之は一種の光線である。併し単に光線といっても霊と体との区別がある。彼のレントゲンやラジウムの如きは光線の体であるが、浄霊の光線は霊であって、この二様の作用は反対である。前者は医学でも知らるる如く、レントゲンは毒素を固める性能であり、ラジウムは毒素を破壊する性能であるから、癌治療はこの破壊力を応用するのである。併し厄介な事には、其破壊力は癌と共に、局部の機質をも破壊するから、結果に於て効果は抹殺され、差引零となり、気休め以外の何物でもないのである。而も非常に高価な代金を払って外国から取寄せるのだから、実に愚かな話である。
処が浄霊による光波たるや、右の如き固めでも破壊でもない。固まった毒素を溶解し、原形に復させる療法であるから、全く邪と正との異いさである。而も前者は機械的に鉱物から採取する為、費用も手数も掛るが、後者に至っては人体から無限に放射されるので、一文も要らずして効果は前記の如くであるとしたら、全く神が人類を救うべく、授けられたものである事は推測されるであろう。
最後に人間の寿齢の事を少しかいてみるが、近来日本人の寿命が大分延びて、男女平均六十一、二歳になったと喜んでいるが、今少し位は延びるかも知れないが、之は健康になった為ではなく、浄化停止によって発病を延ばすからで、発病しなければ医療を受ける機会がないので、生命の危険を免れるという訳である。この例として高度の文化国家程そうであるのは、彼の英仏の如きを見ればよく分る。成程寿命は延びたと共に、老人が多くなり、青少年は其割に少ないから、国民の元気乏しく人口も殖えず、安易を貪る事にのみ汲々たる消極的人民になって了った。現に両国共数ある植民地も漸次減ってゆき、国威は日に月に衰えつつあるにみて分るであろう。そうして今日迄の人間は死の原因といえば、災害を除けば悉く病気であるから、言わば不自然死である。故に病無き時代となれば、全部自然死となる以上、早逝者はなくなり寿齢は大いに延び、百歳以上は普通となるのは当然である。としたら誰でも一生涯の間に、如何に多くの仕事が出来、而も病気の心配がないから思い切った計画も立てられ、死ぬ迄活動が出来るから、人類社会にとって之程の大きな福音はないであろう。この様な夢にも等しい世界が如実に生れる其方法こそ、本著の理論を信じ、実行する事であって、私は神の代行者として、この真理を普く人類に伝えんとするのである。
最後に結核に限らず、一般医学に対する批判と私の抱負をかいてみるが、まず今日全世界を挙げて、現代医学を以て最も進歩せる療病法と信じ、各国政府に於ても之を基礎として、健康確保の施設を立てゝおり、医学の進歩によってのみ、人間生命の安全を保ち得るとしているのである。
そうして昔から幾多の新発見や新学説、又は幾度とない革命はあったが、この医学の革命程偉大なものは、未だ嘗てなかったであろう。何よりも之によって人類の生命は永遠に確保されるとしたら、正直に言って釈迦、キリストの偉業よりも、何層倍価値あるものであるかは考える迄もあるまい。この意味に於て好むと好まざるとに拘わらず、信ずると信ぜざるとに拘らず、今や愈々真の医学は太陽の如く燦として、東方の一角に輝き出でたのである。故に之に従う者は永遠な栄えを得ると共に、従わざる者は医学と共に、滅亡の運命を甘受するより外ないであろう。『聖書』にある「徧く天国の福音を宣べ伝えらるべし、しかる後末期到る」という一節に留意されたいのである。
付録について
左に載せた百種の実例〔略〕は、全部本人手記のものばかりで、特に選んだものではなく、昨年辺りから今日迄に溜った多数の中から、無雑作に百の数だけ採ったものである。というのはどれもこれも大同小異で、選択の必要がないからである。そうして文中結核以外に亘る記事もあるが、之も些かも抹消せず原文のままであるから、多少冗漫な嫌いもあろうがこの点諒せられたいのである。
付録全快者百人の手記（本文省略）