今回は、私が新潟に単身赴任していた時の話です。二十数年以上、布教現場から離れていましたので、新人みたいなものでした。信者さん方も、前任者のように若くて生きのいい専従者が来ると思っていたらしく、がっかりしていた様子でした。(実際に、面と向かっていってきた人がいました。)
そんな私に、一番初めに「相談したいことがあります。」といって声を掛けてくれたのが、分院のKさんでした。彼女は、「私たちのネットワークは、霊憑りや霊的な浄化の方が多くて、どうしたらいいか困っています。分院会議の皆さんからは、変な目で見られているのは分かっています。また、曇っているから霊に憑かられるといわれたこともあります。」ということでした。
いろいろ話を伺いましたが、メンバーさんが一時的に霊に憑かれるという感じで、霊がその人の体に同居しているという感じではなさそうでした。私は、「Kさんやネットワークの皆さんには、使命があるのだと思います。それがどんな使命なのかは分かりませんが、先ずは嫌がらないことです。使命を果たしていけば、そのような現象も無くなっていくと思います。先ずは、現実を受け入れることです。何かしらの必要性があって、メッセージを送ってきているのだと思います。霊体一致・霊主体従ですから、霊的なことを軽視してはいけません。曇っているから霊に憑かれるというのも、間違いとは言い切れませんが、私たちの曇りの多少なんて誰が分かりますか。さほど違いはないと思っています。きっと大事な御神業をさせられているのだと思いますので、どうか気持ちを前向きにして、一緒に取り組んでいきましょう。」というようなことをいったように思います。また私が過去に経験した霊的なことも話をして、理解を求めたと思います。恐らく彼女は、霊的なことに経験のある専従者が来てくれたと認識したと思っています。
そのKさんも、非常に霊感の強い方ですが、自分が霊憑りになるというよりも、霊憑りになった人を審神者するという役目だったように思います。また入信者も、MOA会員も一番多く許されていた方でした。そのKさんと経験したいくつかのことを紹介いたします。
先ずは、Kさんと同じ職場で働いていた女性(Sさん)が、体調が悪いということで、何度かご浄霊を取り次いだようです。先に述べたように、彼女は審神者師の資質がありますので、すぐに何かの霊に取り憑かれているということが分かったのでしょう。いろいろな話を言って聞かせて、Sさんの家にまで訪問して、親身になって取り組んだようです。その経緯は、彼女が一人で取り組んだことなので、私にも詳細は分かりません。しかし、その努力のおかげでSさんはMOA会員になりました。
ただ、それで問題が解決した訳ではありません。息子さんも浄化されていて、確か引きこもりだったと思いますが、Sさんにしてみれば、自分の体調よりも、息子さんの浄化の方をより深刻に思っていたに違いありません。
何度か訪問して、ご両親とも会って話しているうちに、龍神が救いを求めているということに、Kさんは気づきました。Sさん宅は、広い敷地で、杉や松などの木が沢山ありました。その中で何本かの木を切ったとのことで、その木に棲んでいた龍神や池のあった場所に棲んでいた龍神が、救いを求めていたとのことです。彼女は、ある夜に、それらの龍神を救うために、バケツに水を張り、龍神が棲んでいたと思われる池の前にそのバケツを置いて、祝詞を奏上して、このバケツに移って下さいとお願いして、そのあと近くを流れる川に放ったということです。また、今は無き木の前でも、祝詞を奏上して、近くの木に移っていただくようにお願いをしたそうです。それらの神事を、5~6か所行ったようです。
私も、若いころに、龍神に取り憑かれたご婦人を救うべく取り組んだことがありましたが、その時は、「埋めた井戸の前に、酒や卵などのお供え物を供えて、梅の枝と葦も供えて祝詞を奏上しなさい。」とのご指導でした。つまり、「ウメてヨシ」とのことのようでした。(ダジャレぽっいですが)
ある時Kさんは、そのSさん宅を一緒に訪問してほしいと言ってきました。話を聞くと、お稲荷なりさんを祀っているお社を移築したいそうで、どうしたらよいか分からないので、お願いしますということでした。その時は、私もどうしてよいか分からなかったのですが、取りあえず訪問して話しを聞くことにしました。お稲荷さんも、間違ったことをすると祟ることがあるので、大変な問題を抱えてしまったと思ったのが、正直な気持ちでした。
訪問した際に、Sさんのご両親から、移築の理由や移築先に考えている場所など、いろいろ話を伺い、お社にもお参りして、お仏壇にもお参りをして、皆さんの都合のいい日に、とりわけKさんの都合を聞いて、7月25日にお社にお祀りされているお稲荷様を、床の間の前に移すことと、ご先祖様の供養を執り行うことを約束させていただきました。その際に、Kさんが龍神さんを鎮めたという場所を案内してくれましたが、私は、何も感じませんでした。龍神さまが棲んでいても感じないのに、鎮められた後ではなおさらのことです。しかし私は、Kさんから初めて、そのような龍神の鎮め方を学びました。
7月25日の当日、Kさんの運転する車に乗って、Sさん宅を訪問しました。はじめにやったことは、お仏壇の掃除でした。先回訪問した際に、気になったのは、お仏壇が汚れていたことでした。そのあと、お社にご参拝して、一時的に母屋にお祀りさせていただくことをお断りして、祀られているお稲荷様を、一体一体慎重に、床の間の前に置かれたテーブルに安置いたしました。
そのあと、先回訪問した際にお願いしておいたお供え物を、お仏壇とお稲荷様にお供えして、それぞれに祝詞を奏上させていただきました。不思議な光景だと思います。MOA会員はSさん一人で、ご両親も息子さんも信者でもなければ会員でもない中で、このような霊的な御用をさせていただいた訳ですから。いま思い出しても不思議でなりません。Kさんの霊的な力と人柄が、Sさんご一家を感化したのだと思います。Sさん以上に、ご両親がとても有難がっていたことが、何よりうれしく感じました。
無事にご神業を終えて帰る車中で、Kさんから、「今日は誕生日ですよね。帰ってから食べて下さい。」と手作りのお弁当を渡されました。私は、自分の誕生日をすっかり忘れていましたが、とてもありがたいサプライズでした。その後、しばらくして息子さんもMOA会員になるということで、その時もKさんと二人で訪問させていただきました。
次の話は、Kさんが、東京療院のご奉仕の帰りに、新幹線のホームでばったりと、20数年前に信者さんだった女性と出会ったときの話しです。その方は、何らかの理由で脱会したようですが、皮膚病か何かの難病で東京の病院に定期的に通っているとのことでした。新幹線の中で、いろいろな話をしながらご浄霊を取り次いで、こんなことをしていても駄目だから、帰ったら訪問してご浄霊を徹底するという約束をされたようです。こういう霊的なパワーを持っている人は、不思議な出会いに巡り合うものなのでしょう。私は、その女性のご先祖様が、Kさんに会うように段取りされたと思っています。
Kさんの取り組みで、その女性も、今一度明主様の救いに繋がらせていただこうとMOA会員になりました。脱会した手前、信者になることをはばかったのでしょう。そして、しばらくしてKさんと二人で、その女性宅を訪問することになりました。私が、その女性にご浄霊を取り次いで、後ろを向いてもらって間もなく、彼女は「わたし、光が見えるんです。」と言いました。私は、「あらら、この人も、霊感の強い人なのか。」と思いましたが、彼女は続けて「ご浄霊の光じゃないんです。その人から出る光なんです。先生の光は、濃い紫色です。」と言いました。私は、冗談ぽく「濃い紫色って、汚い色ですか?」と聞くと、「いいえ。とても綺麗な紫です。最高の色です。今まで、こんな色の光を見たことはありません。Kさんは、非常に優しい感じの、ピンク色に近い紫です。」と言いました。その女性とは、一回きりの出会いでしたが、不思議なことをいう人との出会いでした。それまでは、浄霊の光が見えるという人を何人か知っていましたが、彼女が見えると言った光は、恐らく霊衣のことだと思います。霊衣の光が見える人との初めての出会いでした。
思い起こせば、二十代のころ、新宿で呑む機会があって、冷やかし半分に道端の手相占いの人に手相を診てもらったことがあります。その時に言われたことは、「あなたは、とても信仰心の厚い人です。こんな手相は久しぶりに見ました。しかも大器晩成型ですから、50歳くらいまでは修行です。その後に、本領発揮の時期が来ます。ラッキーカラーは紫ですから、紫色の物を身に着けるといいです。」と言われたことがあります。でも私は、そういうのを信じないので、紫色の物を身に着けることもなく、今日に至っています。
Kさんが、この女性と20数年ぶりに出会い、MOA会員に導いたことによって、次から次へと新しい人との繋がりが生まれてきました。そして新潟県の最北にある村上市に二人のMOA会員が誕生しました。聞くところによると、昔からこの村上市には、何人もの専従者が開拓布教をしたらしいのですが、一人の信者もできなかったということです。それほどの因縁深い土地なのかも知れません。そこにようやく光明が射しこんだのです。霊的感性が強く、審神者師的な役目を担ってきたKさんだからこそ、許されたのではないかと思っています。そして、そこに使命の一つがあったのだと思います。
ある時、その二人がKさん宅に来るというので、私も会いに行きました。まだ30代の若い女性でしたが、不思議な人たちでした。ご浄霊をしていると、「いま何が見えた?」「こんなのが見えた。」「私も、同じのが見えた。それって、ずっと行くと、あそこに出るでしょ。」「そうそう。」みたいな話をしていました。その後も、「私たちって、陰陽師に仕えていたのよね。」「そうよね。」「あの道は、その時に通った道でしょ。」「私も、そう思ってた。」というような話もしていました。また、Kさんのことを陰陽師で、二人はKさんに仕えていたとも言っていたように思います。世の中には、まだまだ私の知らない不思議なことがあると思いました。
その中の一人が、「是非、村上に来てください。私の家の裏に井戸があったんですが、今埋めてしまってないのですが、気になって仕方がないんです。」ということでした。「ほら、来た!来た!」という感じでした。これはもう、Kさんの出番です。私は付き添いみたいなものです。
村上訪問の当日、彼女の家の裏にあったという井戸の前に、水を張ったバケツを用意して、善言讃詞を奏上させていただきました。Kさんは経験豊富ですから落ち着いていましたが、私は初めてのことですから少し緊張していたように思います。その日は、穏やかな日で、無風状態でしたが、祝詞をあげていると、背中の方からサーっと風を感じました。また、祝詞を奏上し終わった時にバケツの中の水に小さな波紋のようなものが見えました。先頭に立って祝詞を奏上していた私にしか見えなかったと思いますが、Kさんは、龍神さまがバケツの水に移ってくれたことを確信しているかのように、私には付いて来なくていいといって、バケツをもって近くの川に流しに行きました。川にバケツの水を流すときに、何をやっていたかは知りませんが、それこそが、Kさんなりのトドメの神事だったのかも知れないと思っています。
そのあと、近くに古い神社があるので、一緒に参拝していただきたいとのことで、村上の救いを一緒に祈願させていただきました。最近になって、この二人は、退会したということを聞きましたが、他の会員さんが許されているようで、村上での救世の灯火は消えていないと安心しています。
ところで、その頃の私は、新潟は初めてですから、村上市のあたりを地図で眺めていたら、偶然にも新潟と山形の県境に「日本国」という名前の山を発見しました。しかもというか、標高555mということで、何か霊的なものを感じました。私は、このことに気づいたのにも意味があるに違いないと思って、休日に「日本国」に登ってきました。555mなんか大したことないと思って登りましたが、結構きつかったです。山頂で、艮の方角に向かって、天津祝詞と善言讃詞を奏上して、そのあと360度日本の隅々までというか、世界の隅々までという思いで、つまり地球丸ごとのお浄めという想念で、ご浄霊をさせていただきました。不思議と、誰ともすれ違うことなく、登山し神事を終えました。帰りは、登ってきたルートと別のルートで下山しましたが、途中、二組の登山グループとすれ違いました。また、登ってくる時には気づかなかったのですが、「クマに注意」の看板を見てビックリ、無事でよかったと思いました。余談ながら、この山は、その名前ゆえに、韓国人が大勢で登山に訪れて、「日本国を制覇した!」とネットに投稿して、話題となったようです。
もっと不思議なのは、新潟県の一之宮は弥彦神社になっていますが、その弥彦神社のある弥彦山と日本国とを地図上で結ぶと、ほぼその線上に新潟県本部がありました。誰がその地を選んで県本部にしたのかは知りませんが、非常に霊的なものを感じました。このことは、当時のチーフ及びスタッフはもちろんのこと、教団の理事にもなっていた元新潟県本部長も全く知りませんでした。私は、こんなことでは、その土地に派遣された霊的使命を果たせないのではないかと思いました。結局は、教団方針に従って、入信や献金のノルマを達成した人が偉くなっていくという組織でしかないと思いました。
もう一言言わせて頂けば、そのノルマ達成のために、年末になると所長さん方は、金持ちの家の訪問を優先していました。また入信にしても、いわゆる青田刈りではないですが、繋がった人を意図的に入信の方向に誘導していたように思います。結局、成果第一主義的な教団運営が、今回の紛争の原因の一つであると言っても良いと思います。
話は飛びますが、退職してから全国の一之宮参りをしている中で、伊勢神宮に参拝したときのことです。近くにある朝熊山にも行きましたが、そこも、不思議と標高555mでした。その時に、お伊勢参りは、伊勢神宮(内宮、外宮)だけだと片参りと言って、朝熊山にもお参りすることが大切であることを知りました。そこは、伊勢神宮の奥之院のようです。
話が長くなりましたので、ここで打ち切りますが、新潟でのKさんとの出会いは、私にかけがえのない数々の霊的な経験を与えてくれました。その意味では、短い期間ではありましたが、明主様から許された貴重な経験の場でした。そしてKさんは、霊的な分野においての私の師匠であり、尊敬してやまない方の一人です。そのような方が、全国的にも組織に埋もれているような気がします。そのような方々が、活躍できるときが訪れてこそ、昼の世界が近づいてくるのだと思っています。はっきりとした霊的なご浄化は勿論ですが、さまざまな病気の方々も、その原因には霊的な要因がある場合が多いと思っています。精神病院が精神病患者で賑わっているという話を聞きますが、そのほとんどというか、全てが霊的な要因によるものだと言っても過言ではないと思います。その意味では、霊感の強い人、取分け審神者師的な役目のできる人が、明主様の救いのご神業に繋がってほしいものだと思っています。
by Mr.Right つづく
【体験談Mr.Right】№12 某分院さんとの龍神、稲荷の供養など
