掛巻(かけまく)も綾(あや)に畏(かしこ)き。伊都能売之大御神(いづのめのおほみかみ)の宇豆(うづ)の大前(おほまへ)に慎(つつし)み敬(ゐやま)ひも白(まを)さく。豊葦原瑞穂之国(とよあしはらのみづほのくに)は天地初発之時(あめつちなりいでしとき)より。天照皇大御神(あまてらすすめおほふかみ)の大御稜威(おほみいづ)を以(もち)て。平(たひら)けく安(やす)らけく治(をさ)まりしかど。天之岩戸隠(あまのいはとがく)れ給(たま)ひてより。天(あめ)の益人等(ますひとら)が雑々(くさぐさ)の罪過(つみあやまち)を犯(をか)しけむ。四方津国原(よもつくにばら)日(ひ)に乱(みだ)れ月(つき)に荒(すさ)びて五月蝿(さばへ)なす。仇(あだ)の曲事(まがごと)弥募(いやつの)り。黒白(あやめ)も分(わ)かぬ世(よ)と成(な)りぬ。茲(ここ)に天之時(あめのとき)到(いた)り座(ま)して。皇御孫命(すめみまのみこと)は天の磐座(あめのいはくら)放(はな)ち。天の八重雲(あめのやへぐも)を伊都(いづ)の千別(ちわき)に千別(ちわき)て天降(あまくだ)り座(ま)し。下津磐根(したついはね)に宮柱(みやばしら)太敷(ふとしき)立(た)て。高天原(たかあまはら)に千木多加(ちぎたか)知(し)りて美都(みづ)の御舎仕(みあらかつか)え奉(まつ)り。三種(みくさ)の神宝(かむだから)を継(つ)がせ給(たま)ひて。千代万代(ちよよろづよ)に動(うご)く事無(ことな)く変(かは)る事無(ことな)き。皇大神(すめおほかみ)の大御代(おほみよ)は成(な)らせ給(たま)ひぬ。
如此成(かくな)らば。天津神(あまつかみ)は天(あま)の岩戸(いはと)を推披(おしひら)き。国津神(くにつかみ)は高山(たかやま)の伊保理(いほり)掻別(かきわ)け所聞召(きこしめし)。聖(きよ)く貴(たふと)き大御業(おほみわざ)を。直(なほ)く諾(うべな)ひ克(よ)く仕(つか)へ奉(まつ)り。億兆(かずしれぬ)青人草等(あをひとぐさたち)は。百千(もも)の異端邪説(をしへ)の真理(ことわり)に狂(くる)へる事(こと)を善(よ)く覚(さと)り。清(きよ)く正(ただ)しき心以(こころも)て。家(いへ)の業務(なりはひ)緩(ゆる)ぶ事無(ことな)く怠(おこた)る事無(ことな)く。各自各自(おのもおのも)に天職使命(つとめ)を励(はげ)み。四(よつ)の霊魂(みたま)を調(ととの)ひ和(やは)せ。人(ひと)の亀鑑(かがみ)と成(な)さしめ給(たま)ひ。
神国(みくに)に射向(いむか)ふ敵(あだ)ある時(とき)は。国民挙(くにたみこぞ)り敏心(とごころ)の倭心(やまとごころ)を振起(ふりおこ)し。海往(うみゆ)かば水漬屍(みづくかばね)山往(やまゆ)かば草生屍(くさむすかばね)。大君(おほきみ)の辺(へ)にこそ死(し)なめ閑(のど)には死(し)なじ顧(かへりみ)はせじと。弥進(いやすす)みに進(すす)み弥逼(いやせま)りに逼(せま)りて服(まつろ)ひ和(わ)し。茂御代(いかしみよ)の足御代(たらしみよ)に成(なし)幸給(さきはへたま)へ。天津日嗣(あまつひつぎ)の高御座(たかみくら)は。天地日月(あめつちひつき)と共(とも)に動(うご)き傾(かたぶ)く事無(ことな)く。国弥栄(くにいやさか)え男(をのこ)も女(をみな)も老(おい)も若(わか)きも悉(ことごと)く感謝(ゐやひ)に感謝(ゐや)ひ法悦嬉(よろこびうれ)しみ。天ケ下島(あめがしたしま)の八十島八十(やそしまやそ)の国(くに)。一(ひと)つの家族(うから)と成(な)さしめ給(たま)へと。鹿児自物膝折伏(かごじものひざをりふ)せ宇自物頚根(うじものうなね)突貫(つきぬ)きて畏(かしこ)み恐(かしこ)みも祈願奉(こひのみまつ)らくと白(まを)す。