総結論 (天国の福音 昭和二十二年二月五日)

私はこの著述によって、まず人間幸福の源泉たる健康の問題解決と、病無き世界建設の可能を説くと共に、貧乏及び争闘の絶滅をも説いたのである。しかも右の由(よ)って来る根源は霊界に在り、霊界よりの解決こそ目的完遂の真諦(しんたい)である事の原理をも説示したのである。そうして出来るだけ理論を避け経験と実例とを基礎とした事によって、読者はある程度の概念を得、多少の希望と安心感を得られたであろう。

そうしてこの著述によっても明かなるごとく、私の真目的は旧世界と新世界、つまり夜の世界の終りと昼の世界の開幕という空前の転換期に当って大方は滅ぶべき運命の下に置かれている人類二十億を可能の限り救わんとする念願である事に対し、読者は満腔(まんこう)の賛意を表さるるであろう。また私は医学革命以外、来るべき新世界において、人類の理想たる地上天国出現の為の設計的役割をも果さんとするものである。

右の意味において、私が提唱する言説と、その実行する処のものは科学にして科学に非ず、宗教にして、宗教に非ずして、実は科学でもあり宗教でもあると共に、政治にも経済にも教育にも道徳にも芸術にも関連しているのである。それ等凡ゆる文化面が夜のそれであったものが、不用なるものは滅ぶべく、有用なるものは残存し、新たなる文化が近く生れんとする事を、私は予言するのである。最近一部に唱えらるる世界連邦説もその一の顕われであろう。

新世界における宗教、政治、経済、教育、芸術等凡ゆる文化工作に関する私の新説は、やがて発表する考えである。勿論これらの事も医学と同様、前人未発的である事は言うまでもない。地上天国建設というがごとき空前の事業に対しては、空前の構想が樹(た)てられなければならないであろう。キリストは曰った。「天国は近づけり、悔改めよ」と、また釈尊は言った。「仏滅後、弥勒(みろく)世界が出現する」等の予言こそは今や如実に生れんとして、その陣痛苦の中に全世界は置かれているのである。

因(ちな)みに、本著書は英文及び支那文訳も近く出版の予定である。

(『天国の福音』了)

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