《お伺い》京都で、之から土産をやるとおっしゃられました、あの事をお聞きしまして、 自分の事を考え、人力と神力の差をお教え頂き、有難く。
《御垂示》さっき話すのを忘れましたが、割合に肝腎な事ですね。つまり、浄霊は力を抜く程良いとしているが、あれと同じで、他の事にも共通している。一番分り易く言うと、これを欲しいと思うでしょう。欲しいが、どうしてもこれを自分の方に引寄せようと思うと、来ないものでしょう。欲しい欲しいと思った時は、必ず来ないものです。病人でも、これを治したら宣伝力もあるし、是非治したいと思うが治らない。そんな事を全然考えないで、なーに、とやっていると治る。それは、是非治したい治したと言うと、執着ですから人間の働きばかり出る。そんな事を考えずに神様にお任せしょうと、執着を取るでしょう。すると神様の方から来る。人間の執着が――想念がそこにいくから、神様の方を邪魔する。病人でも、こんな病気に負けるものか、俺の精神力で治して見せると言うのは、大抵死んじゃいます。そうでなく、神様の御意のままだ、と諦めると、助かります。だから、よく「もう駄目だ。諦めなさい」と言ってから、治るのが沢山あります。面倒なものは、何でも神様に任せて了えと言うんです。そうすると、案外旨くいくんです。私なんか、始終ややこしい事がありますが、「ええい」と、神様にお任せする。ややこしいのがあって、あっちを立てればこっちが立たない。と言う場合に――お任せすると、旨くいきます。思ったよりか旨くいく。よく、「惟神の大道」と言ってね。惟神と言う言葉は良いです。「カミナガラ」ですね。神様の思し召しのままに進んで行くと言うので、非常に良い言葉ですね。
《お伺い》ああ言う場合に、教えて頂きますと、自分でもゆとりが出て参ります。
《御垂示》そうです。余裕――気楽になりますね。一番は金がそうです。金が欲しい欲しいと思う時は、決して入って来るものではない。もう、金なんかどっちでも良いと思うと入って来る。処が世の中の事は全て、人間の力を過信するんです。戦争なんか、こうしたら勝つだろうとか、こうして一挙にやってやろうとか、日本の戦争みたいに、色んな計画を立ててやるのは、皆んな駄目になったですね。
《お伺い》昔、自分を偉く思って、いつもあくせくして失敗しておりましたが、ああ言う御言葉を頂きますと自分も楽で、旨くいきます。
《御垂示》楽ですよ。それも、その人があんまり依頼心が強くて怠け者ではいけませんが、やるだけやってその後ですね。「人事を尽して天命を待っ」と言うのは、旨い言葉ですね。また、お任せする神様ですが、力のない神様なら駄目ですが、メシヤ教の神様は絶対の力があるからね。
《お伺い》宗教迷信と申しますか、よく大光明如来様と申しますが、私などは、それよりも何事によらず明主様と申しますと、楽になります。
《御垂示》大光明如来様が私の仕事をしているんだからね。仏に化けてね。
神様にお任せすると言う事は良いんですが、神様に惚けると言うのはいけないんです。これは神様の思し召しだろうと思うと、そればかりじゃ失敗してしまう。そこにおいて叡智と言うのが必要になる。結局において、一つの事に捉われてはいけない。また人間力に捉われてはいけない。凡るものを総合調和させると言うんです。それが、一つの伊都能売の働きですね。それによって――伊都能売と言うのは、経にあらず緯にあらず、経であり緯でありと言うので、そこに言うに言われない一つのものができ上る訳ですね。それが一つの――仏教の方で言うと、妙知と言うんですね。
《お伺い》何事を致します時でも、神様を信仰して悪い事をすると言う事はないと思いますが、スースーいくと言う事は、良いと思ってやるのが。
《御垂示》いけないし、スースーいっても駄目です。なぜなら、邪神にやられてもスースーいくんです。そこで叡智です。大乗ですね。小乗でスースーいくのは危ないんです。大乗と言うと――どうかと言うと、仮にこの人を助けると言う場合に、人間の力は限度があるから、両方助ける事ができない。較べてみて、どっちが大きいか考える。一番大きい事は世界人類を助けると言う事です。それで良くなれば、決して間違いはない。そこで、私は「世界人たれ」と言う論文を書いている。だから、世界中の人間が一国の人間になれば、戦争はなくなってしまう。今迄は、それ程でなかったが、之からは全て世界的にならなければならない。
《お伺い》今迄は、どうしても会意識があり、あの御論文を頂きましてからは、世界の為に立派な会にならなければならないと思いました。
《御垂示》そこが小乗と大乗ですね。だから忠君愛国は間違っている。人口が増えた国が一番で、他を侵略する。どうしても、人口が広がるので、侵略しなければならない。それで、武力と言う事になる。自分の国だけ良くしょうとするのが間違っている。
《お伺い》人を良くすると言うのと同じ事で。
《御垂示》そうです。大きくすると国になるんだからね。
京都で、共産主義について話したが、自分の仲間だけをと言うのは、成功しっこない。アメリカの方が良い。だから、どうしてもアメリカは一等にならなければならない。