御教え*急所(御教え集4号昭和26年11月21日②)

 BCG問題ですけれども、あれについて二、三日前の『時事新報』に面白い記事が出ていたので、それを添えて書いてあります。

(「BCG問題」のあとの御教え)

 こう言う事は、ちょいちょいあるんですがね。どうも、こう言う事は医学は気に掛けないですね。医学なんかに始終捉われていると、頭が変になるんですね。普通の判断がつかないんですね。つまり、小さい事でこれだけの大きい事を抹殺してしまうんですね。まあ、精神異状とも――やっぱり一つの迷信ですね。つまり、根本は迷信なんです。だから、迷信者が迷信でない者を見れば、迷信に見えるんですね。そう言う風に考えれば良く解るんだがね。それについて、「無神迷信」と言うのを書いたんですがね。つまり、無神者の迷信ですね。これはちょうど時局の問題に結びついたんで、良く解るだろうと思いますがね。

(御論文「無神迷信」)

 これは算盤については、以前に書いた事がありますが、もう一ぺん書いて見ようと思って書いたんですが、どうも――信者ばかりでなく、日本人は算盤と能率ですね――これが、いかにも気がつかない点があるんですね。だから非常に無駄な事が多いんです。この間――四、五日前、私が山に行ったんですが、鉱山ですね。これは、群馬県の水上温泉の側です。それで、実地に坑道や何か見たんですが、こう言う事に対しても、急所をはずれているんですよ。要するに、急所をはずれていると言う事は、算盤にはずれていると言う事です。例えて見れば、山なら山全体を調べて見て、やっぱり急所があるんです。例えて見れば、一番鉱物がある所、その次にある所、その次にある所と。行って見ると、二と三を一生懸命やっている。一と言うのを後回しにしている。こう言う事は、何にでもあるね。何時も言う通り、浄霊でも急所があるから、そこを見破らなければならない。と言う事と同じで、私が行って今度すっかり――急所をやる様に言いつけもしたけれども、やっぱり――しきりにあっちに行きたかったのは、神様が行かなければならないと言う訳でやられたんですが、そう言う様な具合で、算盤ですね。そうすると能率も上るんですよ。無駄がないからね何事をやるのも、急所を見つけると言う事は、結局――大局から見るんですね。大乗ですね。これは、また違った話ですが。先に株の相場を随分やった事がある――若い時分にね。その時、こう言う事を言う。相場が上る――下ると言うが、一番間違いないのは大局から見るんです。処が、目先と言って、目の前の事に捉われるんです。もう直き上るとか、もう直き下るとか――なるほど、目先と言う事があるにはあるが、結局は、はずれてしまう。全て大局から見ていくと、正確な判断がつくんですね。メシヤ教なんか。今日は大分大きくなって来ましたが、小さいさいうちから、大局で――世界人類を救うと言う之程大きい事はないんですからね。目標をそこに置いてますからね。だから間違いなく進んでいくんですね。処が大抵な人は、大局を忘れて――どうも――部分的に捉われるんですよ。それは、ちょっと良い様でも――結局において旨くいかないんですね。よく、大乗と小乗と言う――さっきも読みましたがね。やっぱり大乗ですね。大乗でいくんですね。それを始終注意していると、楽に旨くいくんです。私なんか、仕事するんでも始終そうですね。今、何れが一番早くやるべき事かと、何れを一番主にして、力を入れるべき事かと、始終考えて、それだけをやっていくんです。そうするとそれだけで小さい事も、よく自然に解決する事もあるんですよ。

(御論文「算盤と能率」のあとの御教え)

 で、こう言う事について、一番思っているのは、時々裁判所に行きますが、恐らく――能率の上らないのは日本一だと思いますね。あるいは、世界一だろうね。何しろ、始まりが十時半と言っているが、処が十時半に始まる事がない。先ず十一時ですね。でも、普通は十一時半になる事もある。十時半に始め様とすればできる。そうすると、十時半に始めると、午前中に二人位調べられる。十一時半となると、一人の証人で十二時半に迄かかるから、二人の証人ではできない事になる。証人を三人呼び出すと、二人はできるが一人は午後になる。証人と言うのは、犯罪者ではないから、一度で済まして貰いたいですよ。一日掛りですからね。一日無駄されると言うのは、実に――人民を思わざるもはなはだしいですね。そうして、調べ方も実に気の長いものですよ。裁判は――牛車に乗っている様な――『源氏物語』時代――だから全く、あそこに行くと、おかしいですよ。今は『源氏物語』は流行はやっているから良いが――そうして、色んな事は、弁護人が証人から聞いたりするが、これが、また、実に無駄な事なんです。事件に関係のあるものはない。見ていて、十のうちに一つか二つでしょう。あとは雑談に近いものです。何となれば関係のない事を言ったり、聞いたりしているんですからね。この間――名前は言いませんが、幹部の人で証人になった人がある。弁護人が反対尋問で――こっち側の証人ですからね。こっち側が聞いて、喋るんですが、たまには検事が言う。処が弁護人が質問するのも急所に触れてない。休憩があったから「あなた、急所はここだ。ここだけ言ってやれば良いんだ」と言ってやったので、残りの答弁の時に、私の言った通り言ったから、それで良かったんですが、そんな様な具合で、大体今の日本人位――何と言うか――まあ、頭が悪いんですね。実に頭が悪いんです。急所が解らないらしいんですね。とにかく、その時の事なんかも、先方は私が金銭に関係したかしないかと言う事の狙いですからね。それに対して弁護人が言わせ様と言うんですからね。他の事は何にも要らない。金銭は他の者がやっている。明主様は教線の事だけだ。と言えば良い。それを、一生懸命に無駄な事を言っている。だから私が――つい「寸鉄」を書きたくなるんですよ。

 結局、寸鉄や歌ですね。歌だと、三十一文字で、とにかく百字も二百字も言う事を現わせるんですからね。歌、俳句をやるのは非常に良いと思いますね。歌、俳句を作ろうと思う時に、例えば季節なら季節を簡単に――俳句にしろ――五七五に表現する。と言う事は、急所ですからね。結局、急所を見付ける事になる。こう言う頭の癖をつけるんですね。良い事だと思いますね。趣味のない者はしょうがないが、少しでも趣味のある者は、大いにやると良いと思う。だから、今の裁判でさえそんなですから、他の役所と言うのは、やっぱり相当無駄があるに違いないですね。だから、よくお役所式だとか言いますが、全く役人と言うのは、ちょっと仕事が違うんですね。だから、官営になったのは、能率の上るのはないですからね。今の電力問題で、電力が足りないと言っているが、関東配電とか作ったからですね。昔、私立会社があった時は、電力不足なんてなかったですね。むしろ電力過剰の方が多かった。やっぱり、人間は欲ですからね。欲で動いている。営利会社にすると、儲けたいから、一生懸命に――電気なら電気を――沢山作る様になるからね。それが役人になると、儲けると言う事がないから、要するに首さえ繋げば良いからね。仕方がないですよ。人間の弱点でね。

 アメリカの発展は、第一番にキリストの為、第二番目に金儲けの国ですからね。今は戦争やっているが、昔は商人の国と言っていたからね。だから儲ければ良い。それからアメリカには、以前の日本の様に、封建的に階級が定まっていないから、腕次第と言う――豊臣時代の様な――金儲け、腕次第と言う――その根本にはキリスト教の影響があるが、そう言う点が、アメリカ発展の原因だと思いますね、トルーマン大統領だって、元小間物雑貨商ですからね。だから、商人上りですね。そしてまた、アメリカの陸軍大臣にしろ、海軍大臣にしろ、軍人を用いない様にしている。日本は、士官学校上りの――何処迄も軍人上りですね。そう言うのを主脳者に置きましたが、あっちは、それを主脳者にしない不文律がありますね。面白いですね。いくさをするにも――商人上りですから――算盤を取っていきますからね。だから、日本でも算盤を取ったら、こんなみじめな事は決してないんですね。戦争を十六年に始めて――支那、中国をやっつけて、蒋介石が危なかった時に、蒋介石が和睦わぼくを申し込んで来ましたが、それを入れて、中支の良い加減な所を取って、満州は日本のものですからね。それだけで、戦争をめて了えば、世界の世論もそれ程ひどくならないで、あれ位仕方がないと、あと――日本にしても、何処迄も商業的に支那を開発すると言う様にいけば、蒋介石だって喜びます。そうして行けば良かったんですね。処が算盤を取らないからね。八紘一宇はっこういちうで、アジアを全部日本にしようと、算盤を取らず、無茶苦茶にやったからね。

 最もこれは普通の理屈であって、神様の方から言えば、全然違うんです。やはり日本は負けて、こうならなければならない。今言ったのは、絶対に真理とは言えないが、そう言う事も知って置かなければならないと言う事です。

タイトルとURLをコピーしました