それから、私が今やっている仕事は、六年目毎に変わっていくんです。最初私が始めたのは昭和三年ですが、その前から――三年から急激にやった訳じゃなくて、その前から段々――大本教信者なんかで、色々研究したりやってましたが、そのうちに、私が、昭和元年の十二月――これは私の本に書いてありますが――神憑りになって、色んな事が分かったんですね。それから、他にも色んな奇蹟があって、いよいよ決心して始めたのが、昭和三年の節分からです。そうして、色んな不思議な事が沢山あって、昭和九年迄六年間、神様の修行と言う様な訳ですね。そうして、病気を治す事や何か、やっとできる様になって、九年に麹町に民間治療の店を開いて、それから六年経った昭和十五年の十一月に止めて、それから翌年の十六年から、今度は――未だ宗教的にはできないけれども――その時分には喧ましかったから――半宗教、半治療ですかね。病気治し――そう言う様な事をやって、二十二年ですね――そこで、本当の看板をかけて、宗教と言う様になった訳ですね。二十一年が六年になる。それで、二十一年から地上天国ですね――箱根、熱海に始めたんです。終戦が二十年ですから、終戦後直ぐに、色んな計画の下に着手した訳ですね。そうすると、今年がちょうど、また六年目になるんです。今年は非常に変わる訳なんです。
で、そのうちの一つは、美術館ですけれどもね。美術館は大晦日の日に行って見たが、思ったより立派にできました。堂々たるものですね。建物から言っても、恐らく日本一でしょう。中身も日本一にするつもりですがね。そんな訳で、あれができると、先ず社会の注目を大いに引くだろうと思います。で、中に陳列する物も、色んな――私が準備した物だとか、信者さんが献納した物だとか――それからまた、高級――優等の逸品物ですね。そう言う物は、財閥とか旧大名ですね――そう言う所に中々立派な物があるので、そう言うのは、先方で中々売らないですけれども、金に困っているんです。あそこの家じゃ、あれを売る様ではもう駄目だ。と言う信用ですね――そう言う点もあるし、税務署がおっかないしと言う訳で、中々手放す事ができない。そうかと言って、金には苦しんでいる。そこで私は考えて、ある程度のお礼をして、それを借りると言う様な意味を話すと、大分それで――先方は喜んで応じる風があるんですよ。ですから、その点において非常に、普通見られない様な物を出品できると思ってます。それから後は、古い仏教美術の様な物ですね。これは京都、奈良あたりのお寺は、みんな財政に苦しんでますから、これは殆んど威張って――借用料を出して借りる事ができるんですから――こう言う物の良い物が出るだろうと思ってます。建物と中身と、日本一は充分間違ないですね。それから、ある点においては、世界一かも知れないですね。と言うのは、アメリカあたりなんかが――この間のサンフランシスコであった展覧会で、非常に刺激されて、是非今年――二十七年にやって貰いたいと言う――最近申し込んで来ましたがね。ロツクフェラー財団ですかね、日本も大乗り気になって今準備している様です。今度はサンフランシスコの時と違って、もっとずっと良い物を出す予定らしいです。サンフランシスコの時は良い物を出さなかったですね。あの時話しましたが、進駐軍の注意があって、あの時フィリピンが喧ましかったので、あの時にダレスさんなんかが、今日本は賠償はできない。だから他の事で、賠償をする様にしなければいけない――そう言った話があったので、フィリピンは、金銭以外とすれば、美術品でも良いと言うので、押えられる様な事があったので、最初の予定と違って、一段落ちた――そう言う物を出したんです。この間、その展覧会を見ましたが、なるほどそう言う様になってます。一級品を避けている。処が今度は、そう言う心配がないので、一級品を出す様子ですがね。そう言う様で、日本美術に関心を持って来る傾向なんです。ヨーロッパあたりでもそうですがね。日本の古美術の権威として、矢代と言う人があるんです――この人は今度ヨーロッパに招ばれて英国、フランス、イタリヤと――日本美術の講義をして来ようと言うので、もう直き出発する様です。そんな様な訳でアメリカ、ヨーロッパの人達が、非常に日本美術に関心を持って来た。ですから、今度箱根に造る美術館も、外人の方に知らせたら非常に観に来るだろうと思ってます。大体日本美術を主にして、支那美術を付録位にしてます。支那美術の方はアメリカ、ヨーロッパでも集めてありますから――支那美術は、それより以上には、こっちはできません。日本美術は、先方に――本物はないですね。殆んど贋物ですね。本物は極く僅かしかないです。そんな訳で、箱根の美術館だけでも、世界的といかなくても、相当注目を引きますね。いずれ熱海に建てるのは、世界一と言うのを目標にしてます。それは、大変なものですが、今の箱根ですね――箱根だけでも、相当注目を引かせる様になると思います。