今回も三好先生の「新型コロナとがん」から一部紹介させてもらいます。
第3章 薬が新型コロナを悪化させる
2、 免疫暴走は薬剤が誘因 より
薬剤による免疫暴走で死に至ることがある
免疫暴走は何らかの原因で起こると言われていますが、解熱剤や抗菌薬などの治療薬が誘因となることが考えられます。
あらゆる薬剤が要因となる高熱や全身の皮膚や粘膜の炎症、肺炎、消化器疾患、腎臓機能障害を発症するスティーブンス・ジョンソン症候群があります。致死率が約25%もあり、サイトカインストームが要因と考えられています。
新型コロナによる肺炎はウイルス性肺炎ですから、抗菌薬は効果がないのに2次感染の細菌性肺炎を併発していると想定しペニシリンなどの抗菌薬を使うことがあります。
ペニシリンなどの抗菌薬の副作用には、肺炎やスティーブンス・ジョンソン症候群があります。
これらのことから、新型コロナによる肺炎を治療するために使った抗菌薬が誘因となって免疫暴走を引き起こし、スティーブンス・ジョンソン症候群を発症し、この副作用により肺炎が重症化したり多臓器不全になり死亡することがあると考えられます。
また、アビガンやレムデシビルなどは、ウイルスが肺の細胞で増殖するための遺伝子の働きを抑制する薬剤です。
これらの薬剤はウイルスの遺伝子にだけ働くのではなく、正常細胞の遺伝子にも働き抑制するので、肝機能障害、腎臓機能障害、免疫細胞減少による肺炎などの副作用が生じることがあります。
「新型コロナとがん」三好基晴著 より
アクテムラは免疫抑制剤
重症の新型コロナ肺炎では、免疫細胞が暴走する免疫暴走(サイトカインストーム)によって、重症化し死亡することがあります。
その詳しい作用はまだよくわかっていません。分かっている範囲で仕組みを想定します。
肺の細胞に感染したウイルスは、細胞内で増殖します。体はウイルス増殖を阻止するため、ウイルス感染細胞は免疫細胞を活性化させるサイトカインという伝達物質を放出します。
免疫細胞はサイトカインにより活性化され、ウイルス感染細胞を処理します。処理する反応が肺炎であり、炎症は体の防衛反応と考えます。
この炎症は、免疫細胞が攻撃するから、と言われています。しかし、ウイルス感染細胞を除去する必要があってのことなので、攻撃ではなく処理する、と言えるのです。
ところが、何らかの原因で免疫細胞が過剰に活性化すると正常細胞を攻撃してしまいます。この免疫暴走で肺炎が重症化し死亡することがある、と言われています。
アクテムラはこの免疫暴走を防ぐとされる薬です。しかし、免疫抑制剤ですから、免疫暴走だけではなく正常な免疫細胞の機能をも低下させてしまいます。
そのため、重症の肺炎を一時的に抑えることが出来たとしても、免疫機能が低下し他の病気が発症しやすくなります。
「新型コロナとがん」三好基晴著 より
ウーん。中々難しいですね。
でも、重症化のシステムがよく分かるように説明してくださっていますね。
もう一つ、新型コロナは持病を持っている人が重症化しやすいとよく言われていますが、持病はあることが重症化しやすいのではなく、常時服用している持病の薬が重症化を招いているのではないかと思っていたのですが、その答えもありました。
高血圧の治療薬がウイルスの増殖を促す
人が血圧を上げる作用の一つに、副腎ホルモンの作用があります。細胞のACE2レセプターという受容体があり、副腎ホルモンがこのレセプターに作用して血管を収縮させ血圧を上げます。
この受容体に入り込み、このホルモン作用をブロックして血管の収縮を妨げ、血圧を下げる降圧剤があります。
人は血圧を薬剤で下げられると、細胞に酸素や栄養素を送りにくくなるなど体にとって不都合が起きてくるので、反動で血圧を上げようとし、この受容体を増やそうとします。受容体が多くなれば新型コロナウィルスが増殖しやすくなり、重症化につながります。
このような現象は、仕組みは多少違いますが心臓病治療薬、糖尿病治療薬、解熱剤なども起こります。
高齢者や心臓病、糖尿病、高血圧症、呼吸器疾患、がんなどの慢性疾患の持病がある人は、重症化しやすく致死率が高いと言われています。
しかし、高齢者だからとか、持病があるからとかではなく、高齢者になるほど持病があり、薬を常用していることが多いからでしょう。
「新型コロナとがん」三好基晴著 より
わかりやすいように書いてくださっていますが、いかがでしたでしょうか?
薬の作用は複雑ですね。お医者さんは薬についてはあまり詳しくないと聞いたことがありますが、お医者さんにもよると思いますが、もしそれが実態だとしたらとても恐ろしいことですね。
八尾屋