気候と天候に就て霊的解釈をしてみるが、科学的解釈に馴れた現代人には、私の説は首肯出来兼ねるかも知れない。然し乍ら之は神示によるもので、私としては確信を以て発表するのである。先づ一口に言えば、気候の変化も、天候の好し悪しも、人間が作るという事である。というと甚だ不思議に聞えるかも知れないが、之から私の説く処を玩味されたいのである。
吾々が吾々の五感によって知り得る現界以外、霊界からの影響も読者は大体認識されたと思う。これに就て先づ気候の変化の原因をかいてみるが、冬の寒さから夏の暑さに至るまでを四季に分けられてゐるが、その時々の流れに従う気候の変化が順調に推移するのが本来であるに拘わらず、時によると異変する事がある。それは何の為かというと、全く人間の想念が、霊界に反映するからである。例えば人間大多数の想念が正しく温和であれば、気候もその如く温和順調であるが、平調を欠く人間が多い場合、即ち愛の熱に乏しく冷やかな人間の想念は、その時あるべき気候よりも寒冷となり、その反対に何かの出来事に昂奮し、情熱の適正を欠く場合、その時あるべき気候に対し温熱が過ぎるという結果となる。以上の外に人間が悪に属する想念、即ち不平不満、呪ひ、自暴自棄等の多い場合、それが霊界に反映して、何となく陰欝の気が漂うのである。
次に人間が発する言霊であるが、之も頗る重大なる影響を与えるもので、悪に属するもの即ち他人の悪口、不平、愚痴、偽り等の言葉は霊界を曇らせる事夥(オビタダ)しいのである。以前私の友人であった或宗教者は、人の発する言霊が見えるので、例えば悪に属する言霊を発する時はドス黒い煤(スス)のようなものが、煙の如く口から出るのが見えるが、善に属する言霊の場合は、白色の薄光りのようなものが見えるそうである。此悪の言霊から発する煤の如きものが霊界を曇らすので、之が増量し、或程度を越ゆる時、それを払拭消滅すべく自然浄化作用が発生する。恰度家の内外に塵埃が溜れば、人間がそれを掃除するのと同様の理で、豪雨、颱風、雷鳴や洪水、大火、地震などもそれであって、拭き払ひ洗ひ流し、焼却するという訳である。それには分担さるる神々があって行うので、神道で唱える祓戸(ハライド)四柱の神で、気吹戸主神(イブキドヌシノカミ)、瀬織津比売神(セオリツヒメノカミ)、速秋津比売神(ハヤアキツヒメノカミ)、速佐須良比売神(ハヤサスラヒメノカミ)の御名によって、世界的浄(キヨ)めの業を行い給うので、何れも多数の龍神を使役せらるるのである。
茲で、阿波の鳴戸に就て解説してみよう。前述の如く風水火の浄化によって集溜されたる汚物は、如何に処理せらるゝかというに、各河川を通じて海に流れ、阿波の鳴戸の海底深く沈下さるるのである。勿論全世界の汚穢であるから、その量は蓋(ケダ)し驚くべきものがあろう。然るに地球の中心部は学者もいう如く、巨大なる熱塊、所謂地熱であるから、鳴戸の海底深く沈下せる汚物は、絶えず此地熱によって焼尽される訳で、日本は世界の汚物消却場といっても可い訳である。
人間が以上の如き理を知ったなら、悪の想念や悪の言霊は出来るだけ無くすよう、心掛くべきである。