霊に税金がかかる(地上天国4号 昭和24年5月25日)

 この標題を見た人は合点がゆかないであろうが、以下の説明によってなるほどと納得がゆくはずである。本教団に対し、全国の新聞を賑わした彼の税金問題は大抵の人は知っているであろう。実に二五二四万四八三二円一八銭也(既納税額を含む)という箆棒べらぼうな税金をかけられたので流石の吾々も仰天したのである。この高額の税金は昭和二十一年一月から二十三年十二月まで三年間に対する課税である。二十一年二十二年は収入は僅かであった。その訳は二十二年七月までは浄化療法と唱える民間療術であったからで、それが翌八月から宗教法人日本観音教団の名の下に宗教的活動に入り、それから収入が殖え始めたという訳で、二十二年八月から二十三年十二月までの僅々十四ヶ月間に対する課税が主なるもので、その分が概算千五百万円位になろう。この取調べに対して数人の税務官が、毎日出張して一ヶ月余もかかったのであるから、決して誤算などありようはずがなくまず正確である事は太鼓判を押してもよかろう。

 以上のような多額の税金をかけられたその基本収入が何千万円というのであるから、誰しも驚くと共に、一体全体どんな不思議の謎があるという事は、本教団を知る限りの人は、誰しも知りたいであろう。そこで吾等とその収入の基礎的原因である謎の正体をここに赤裸々に露呈してみるのである。

 そもそも、本教団はいうまでもなく宗教団体である以上、十数万に及ぶ処の信徒が御利益に対する感謝の財物や御利益を願う為の奉納金、参拝の御賽銭金が全収入で、これは一般宗教と同様である。ただ違う処は開教誠に僅かな期間に驚くべき収入があった事で、これが問題になるのである。しかしこれによってみてもいかに本教信者の御利益が素晴しいかという事が推定される訳で、それをここにはっきりさせようとするのである。

 そもそも、本教団においては本教の創始者として吾等が尊敬の的ともいうべき、岡田大先生が揮亳なされる処の文字の不思議である。光の一字を書かれた幅一尺、丈二尺三寸の紙片を折り畳んでお守に掛け、あるいは光明如来と書かれた巾一尺二寸、丈三尺五寸の縦の幅を床の間へ掛け、礼拝する事によって実に驚くべき奇蹟が起り、顕著な御利益を戴けるという。第三者としては到底理解でき得ない程の事実である。その為感謝感激のあまり財物をお礼として献上するしそれが教団の全収入である。この不思議な現象に対し、大先生の説明によれば「神霊が自分の手を通して文字に印せられるのである。その文字へ霊線によって不断にある高級神霊が霊界における観世音を通し、自分の霊体をまた通し、お守をまた々通しお守拝受者の霊体を通して病患を初め種々の物体に放射され、驚くべき効果を挙げるのである。つまり無機物が有機的存在となって活動するのである。之等を現代人に理解させる事は誠に至難で、今の所之以上の説明は不可能である。右のように自分のやっている事は全く見えざる力の行使であるから、結果である処の御利益をもって実証するより外致し方ないであろう。」

 以上のごとく文字が生物のごとく躍動し、見えざる力の活動となり、それによって生れた収入が課税の対象となったのであるから、課税の原因は霊即ち空である事に間違いはないとすれば実に可笑しな話で、世界の何処を探しても、この霊に対して何千万円の課税の対象になった例は恐らくないであろう。

 しかしながらよく考えてみれば、現在の政治は一切が唯物一点張りで作った法規が元であり霊などという見えざるものは、テンデ問題にしないのであるから、この場合霊と税とは全く矛盾している訳である。とはいうものの当局は収入そのものだけを見て、その収入の生れた原因などはどうでもよい。ただより多くの納税を得なければ国家の経済が成立たないという緊迫せる今日の状況であってみれば、吾等も国民の一員としてまた止むを得ない処と諦めて、一生懸命に納税を済せる事に目下努力中である。

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