御教え集1号 昭和二十六年八月二十八日 *順序(昭和二十六年九月二十日)

箱根美術館

 それから、もう一つは美術館ですね。あれも建築の方にかかり始めた。どうしても神様は急ぐんですね。来年の夏迄にしなければならないと言うので、そのつもりで始めたんですが、中に陳列に使うケースだけを備えつければいいんですから、割合簡単です。あそこに模型もできてますが、大体あの通りで、三階は日本間になる。これは外人が来た時――ゆっくり良い物を見せると言う時――日本的の気分を出すには必要だと思ってこしらえた。で、恐らく美術館としては日本一になるだろうと思う。こっちの美術館が立派と言うより、他にある美術館が貧弱なんです。私は大したものじゃないと思っていたが他の美術館はもっと大したものじゃない。

 博物館ならばですね。これは建築も立派ですし、品物も多い。博物館の根本的観念は、つまり学問的――考古学的――とかに重きをおいて、美術と言う事が薄いんですね。そこで、博物館には古い色んなものはありますが、美術的と言うものは物足りない点があると思います。それで、私は審美眼で見て、良いものをと言う方針にした。と言うのは、仮に正倉院の宝物なんて――時々やりますが、皆んな大変大騒ぎをやってて――去年だったか、大変な大入り満員だった。新聞のせいもあったが――処が私も好きで研究しましたが、さて正倉院のを見ても感心するのはないんです。古ぼけたのがありますが、なるほど千年前にこんなものがよくできたと言うのは感じますが、これを部屋に飾って楽しんでみたいとは思えないんです。ですからアメリカの美術展に百何十点か行きましたが、これを理解できるのはないと思います。三分の一位でしょう。ただ、古いと言うのですね。古いと言うのは美術的より、よく保存されて来た。と言うそれを感心する訳ですね。だから私はよく言う。これは「保存の美術だ」とね。そんな訳だから、私は敢えて古いものにこだわらない。現代のものでも美術的の高いもの、それは陳列するつもりです。だから、ただ古いものに捉われると言う――一つの妙な癖を皆んな持っているんですね。それで、そう言う点も大いに直したいと思っているんです。まあーできて陳列したら分かりますがね。

 誰が見ても理解できると言う事を主眼にした。大体美術の目的と言うのは、人間が美術を楽しんで、不知不識(しらずしらず)に霊的に高くなる。趣味を高めるんですね。その人の魂を清めるには非常に良い訳ですね。それでないと、今の様にパチンコ屋だとか、ストリップだとか沢山ありますからね。いけないとは言いません。少しは良いですが、もっと高いものを見せなければならないと言う訳です。一般人が見て理解ができなければならないですから――考え込んだり、うなったりしては、やっぱり駄目ですからね。目のきいた人でも、そうでない人も楽しめる――それに引きつけられる、と言う様なのでなくては本当の意味はないと思います。そう言う方針でやろうと思っている。

 それから、今やり始めているが、裏手の方ですね。あっちもウンと面白いものを造る――あっと言うものを造るつもりですが、あんまり精しく言えないが。それで大体ここが完成する訳です。

 信仰には限らず、あらゆるものがそうですが、ここが完成しなければ本当の発展がないんです。ちょうど人間で言えば、立派な洋服を着たんだが、まだ靴下をはいてない。跣(はだし)では歩けないから靴をはかなければならない。ネクタイもしなければならない。そう言う訳で――揃ってはじめて人の前に威張って出られると言う訳で、完成しなければ、そこに欠点がありますから発展がしない。ですからこの位の本山が之だけ拡がれば、それだけ教線も拡がるものです。ですから、相応の理と言って神様の方は特にそう言う事はやかましい。それから、熱海は体で箱根は霊です。熱海は緯(よこ)、箱根は経(たて)になる。ですからここが済まないと熱海はできない。こっちの建築が済まないと熱海の建築ができない。実にはっきりしている。瑞雲郷の少し先に欲しいのがあるが、それを先に手に入れることはできない。実に順序良く、隣から隣へと次々いっている。ああ言うのにも非常に順序がある。

 「神は順序なり」と言ってね。順序を乱したりしているから、今の世の中は非常に乱れている。そう言う事を知らないんですね。そう言う訳で、ここができなければ熱海はできない。それから、ここも将来大きな本山にする所を買ってありますが、それも順序があります。ここができて、熱海ができて、それからまたここが(本山)それからは小田原にできるか、京都が先になるかも知れないが、そう言う順序になる。これは大きい順序です。

 人間の個人としてもやはり順序がある。だから私は、順序だけはやかましく言いますが、浄霊の時もそうです。一番先に重病人をやり、それから軽い人にいくか。来た順序にするか。来ている人の年とった人からやる。それから、男と女だと、男を先にする。そうすると治りも良い。

 現界で順序をはずすと、霊界がはずれてしまう。そうすると、それが現界に写るから、どうしても滑らかにいかない。だから、何かやるとかと言う時は順序を注意する様にする。

 何時も言う通り、その時の目的によって、神様に対する物事は一番先にしなければならない。神様の所に行く時に、他の用事をしてから行くといけない。そうすると人間の用事が先になり、神様の方を下にみる事になる。そう言う時は、むしろ神様の方に行かない方が良い。そう言う事についてつまらない事ですが――何時か、私が玄関から出ようとすると、叔母が横切った。それで車に乗ったが、叔母も乗ったが、車が走り出すと、それがとても気持ちが悪い。それで、伊豆山から水口まで後戻りして一度家に入り、それから改めて東京へ出直した。そう言う時にそのまま行くと、自動車に故障がある。それは霊界が違っちゃうからです。しかし、あんまり五月蝿(うるさ)くするといけないが、肝腎な事だけは心得ておくと良い。

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