御教え集8号 昭和二十七年三月十六日 ※神仙郷建設 (昭和二十七年四月二十日発行)

    箱根の美術館の方も順調に進んでいるのですが、今度あの辺の、美術館に関係した色々な事ですね。兎に角、道路とか、そう言うものも旨く行きまして、何しろ今あゝ言つたものが非常に流行つて来たですね。この間も三越の興福寺の仏像展覧会ですね。あれらも大変な人で、何でも――行列で一時間以上待たなければ見られないそうです。その位だから、箱根の美術館も――それは、三越の方は無料で、おまけにデパートで、之は別ですが、でも箱根の方は不便ではあるしするから、そんなに、押すな押すなと言う事にはいきますまいが、然し随分来るだろうと思います。そこで外人なんかも、箱根に来る外人は残らずと言う位に、屹度(キット)来るに違いないですね。特に日本美術が多いから、外国の人は余計見たいから、それに評判を聞き内容を見れば、是非見たいと言う人が、外人に沢山出て来るですね。そうすると、自動車の置場も作らなければならないと言うので、今迄の渋井さんの大観荘ですね。あそこの斜の角ですね。あそこの地所がずつと低くなつてますが、あれは箱根登山の地所で、あそこより他にないですね。あそこなら、極く都合が良い。あそこを平に埋めて自動車の置場にして、門の入口は角にしようと思つている。それで、切符売場と入口は、神仙郷の角にしようと思つてます。ですから、丁度自動車も上り良いんですね。あれを会社に

    『美術館が出来るとお客が増えるから、電車の乗客も日に千人は増えると思わなければならないから、それで、寄附して呉れ』と言つた処が、そいつは具合が悪いからお貸ししますからと言う事になつて、借りる事になつてます。そうすると大体神仙郷は夏あたりに、庭の方も大体出来る積りです。

      今度は、ケーブルの向う側に広い地所が買つてありますから、本山の準備をしなければならない。一万坪あるんです。又馬鹿に良い処で、強羅の丁度中央で、山がホーロクを伏せた様に旨くいつて、後の方が杉林になつている。それは、不思議な程良い具合になつてます――山がね。あそこを馬鹿に安く買つたんです。一昨年か一昨々年ですがね。七千坪買いましたがね。あの山をくずして、くずしてと言つても楽なものです。神仙郷の様に岩はないしね。土許りですからね。そんなに高い山じやない。ふつくらしているんですからね。けずれば良いんです。それで後の杉林を残して平にして、やはり椅子席にして、之は一万人位入れる様にしようと思う。之は日本一だろうと思います。今一番大きいのは、浅草の国際劇場で、あそこは五千人入れる。あの倍ですからね。アメリカのは知らないがね。アメリカにもつと大きいのがあるかも知れないが、東洋では一番だね。勿論鉄筋で、一万人位収容出来ると思います。それから、一段下つた処に、五千坪位去年買いましたが信者の宿泊ですね。それを作ろうと思う。県別とか会別ですね。天理教なんかやつてますが、あの式にやろうと思う。其処の山ですが「光明台」と言う名前を附けて置きましたがね。それで光明台に行くには、神仙郷の方から行くのに、ケーブルの線路が邪魔になりますからね。今、あそこを通ろうとすると危なくて――道のない処を行くんですからね。どうしても駄目なんです。それには、ケーブルの下を地下で行こうと思う。それで今言つた通りですね。倉田の通りですね。自動車の置場の処あたりから、段々低くしてケーブルをくぐつて行くんですがね。丁度ケーブルの方は高いですからね。それで光明台の方は低いですからね。地下道には極く良い処です。それで地下道を作つてその土で、自動車の低い処を埋め様と思う。近いですから奉仕隊の連中丈で出来て了います。

      美術館と言うのは、ゾロゾロ後々来ては落着いて見られないんです。博物館なんて、そんな事は構わずにやつてますが、幾らか気分良くやらないと駄目なんです。そこで、あそこに待合所を作つて二、三百人腰掛られる様な処を作つて、人を計つてやろうと思う。その為にあそこに待合所を作る。それから外人なんかは雨が降つた時、雨の中を歩いて行くのは具合が悪いですからね。外人許りでなく日本人もね。贅沢な人は――自動車で来るなんてのは、雨が降つては具合が悪いから、渋井さんの大観荘を六尺けづつて――今迄の道が三尺ですから――美術館の裏手から車を降りると直ぐ、雨に濡れずに美術館に入れると言う様にもする積りです。そう言う様な具合で色々、そう言つた設備や何かも相当仕事があるんです。で、茶席の裏の方は、今土をやつてますが、あそこは夏迄にはやつて了いますが、殆ど粗方(アラカタ)は出来てます。あそこは平にしてモミジを植える積りです。それからあそこの流れも、出来る丈モミジを植えて秋紅葉時分に非常に良いと言う様にする積りです。丁度あそこは萩の道がありますし、秋非常に良いですね。美術館なんかにしろ、夏から秋にかけての方が、箱根のモミジと言う様なので――箱根の桜と言うのは本当は良いんですが、あんまり世間に知れてないですね。強羅に桜は随分ありますが、箱根と言うのはモミジですからね。ですから、秋モミジを見ながら美術館を見るのは極く適当していると思います。

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