(御論文「算盤と能率」のあとの御教え)
今ので大体分かっただろうが、一番――人間が何かやる場合に肝腎なのは、急所を知る事です。鉄砲玉みたいに――敵を倒すのに一発で――だから、一発で敵にぶつかる様にする。そう旨くはいかないだろうが、それを、あんまり無駄玉を打ち過ぎるんですね。
私はつい二、三日前に――鉱山をやってますが――山に行ったんです。それで始めて分かったんですが、行って良かったと思ったね。何だか行ってみたくてしょうがなかったので行ったが、神様に行かされたんですね。やっぱり、全体から見て、全然見当違いをやっている。無駄玉やっている。一ヵ所だけは、今月の月初めに急所をやる方法を指図したので、それはその通り準備してましたが未だ々々素晴らしい急所があったんですが、それは全然無頓着だった。最も、そこの許可を受けたのは十日程前だから、後回しにしていた。私は、許可を受けたらその日にやる主義ですね。それで、そう言う素晴らしい処を発見した訳です。段々――考えながら帰って来ると一刻も早くやらなければならない。帰った晩に――十三日の晩に帰って来たが、以前の坑道精しく調べて帰れ、と言う電報を打った。十四日の朝電報を打ったが、調べて昨日帰って来た。私の思った通りで、直ぐに行って、こう言う風にしろと言った処が、二十一日迄待って頂きたいと言う。私はちょうど映画があったので、聞きっぱなしであったが、映画を見て帰る途中、電話をかけて、あした行けと言った。それで、二十一日迄に私が行った通りにして帰れと、すっかり指図したんです。そう言う事が、世間並のやり方と異る私の能率的な事です。私が昨夜言ったので、今朝行ったんです。そうすると十八、十九、二十、二十一――四日間節約した訳ですね。これが、今言う能率ですね。私のやる仕事ですね。だから、そう言う点が、見込みがついて良いと言う事になると、一刻も早くやるんですね。そうかと言って、急ってはいけない。急らないで、物の無駄がなく、急所々々をやっていくんですね。十三日に行った時に、一番の山の急所を発見したんです。だから、発見した以上は一刻も早く手をつけると言うやり方ですから、旨くいくのは当たり前なんです。そう言う事が普通の人は、割合のんきなんです。今の論文と言うのは、そう言う意味なんですね。
私は、随分仕事を沢山しますが、一々細かい話はできないんですがね。普通の人が十日もかかる様な事が、大抵一日でやってしまいますがね。一昨日、昨日も、東京に行きましたが、美術の事ですがね。二日間で素晴らしい事をやりましたがね。普通の人もある程度真似はできるんです。何でも彼でも、急所を見付けるんです。浄霊でもそうですね。それで、急所を見付けるとそこをやる。一つの主義としてね。癖としてね。そうすると、案外早くいくんです。しかし、無理にやってはいけない。どうして明主様はやらないんだろうと思う様な事がありますよ。それは、急所が来ないんです。それ迄は、のんきにして置いて、急所と時期が来たら疾風迅雷、素晴らしく早い、だから殆んど失敗しないですね。