浄霊の原理  第二(『神示の医学 』 光号外 昭和24年5月30日⑥)

 愈よ浄霊の原理を説くが、之について前提として知らなければならない事があるから先ずそれから述べてみよう。

 そもそも万有一切は、物質のみではなく、別に眼に見えない処の霊なるものがある、勿論、人間と雖も霊と体とから成立っており、之を概略分類すれば霊は太陽の精であり、体は月と土の精である、それを判り易くいえば霊は火であり陽であり、男であり、表であり、経であり、昼である、それに引換え体は水であり、陰で女で裏で緯で夜である、処が科学に於ては体のみを対象として、霊の存在を認めない、この点が根本的誤謬である、何となればもし人間が体のみで霊がないとしたら、それは単なる物質である、木石と同様無機質である、生命もなければ精神の活動もあり得ない、斯んな単純な理論が判らなかった事が、今日迄の科学の根本的誤因であった、故に彼等科学者の考え方は、この空間は空気のみの存在として他は無としていた、処が何ぞ知らん、空気以外の諸々の不可視原素がどの位あるか判らない事実で遺憾ながらその発見にまで科学は未だ進歩していないのである。

 右の如き不可視原素の実態を幸いにも私は発見し得たのである、之を私は霊科学と名付けた、この発見を契機として、人類の最大苦である病気が滅消される時代が開始されるに到った事は勿論である、今日迄全然不明とされていた病患に関するものは一切解明されたのである、随而したがって今日の如き医学研究の必要は最早無いと言ってもいいのである。

 次に病気発生の根原を闡明せんめいしてみるが前述の如く人間は霊と体の二元的要素から成立している以上、人間が生きて動いているというのは、霊と体が密合一致し、霊が体を動かしているからである、そうして霊は人体と同様の形状をなし、霊の中心に心があり、心の中心に魂がある、この三者一体の活動が意志想念となって表われ、この見えざる霊即ち意志想念が肉体の支配者であるから、霊が主で体が従となる、即ち霊主体従である、之を判り易くいえば人間が手足を動かす場合、手足が自主的に勝手に動くのではない、意志の命令に従って動くのである、眼も鼻も口も人体全部悉くがそうである、病気と雖もこの原理の通りで、判り易くする為、誰でも経験のある腫物を取上げてみよう。

 腫物は最初小なる隆起が出来、それが漸次腫脹し、膨大し、赤色を呈し、発熱を伴い局部は痛み、痒み等の苦痛があるのが通例である、この現象は体内の毒素が自然生理によって排泄さるべき活動が起り、一局部へ集溜し発熱によってその毒結を溶解液体化し、排泄を容易ならしめる、それが自然良能作用である、又排出口を作るべく、皮膚をより薄く柔軟ならしめる、故に赤きは、透明状となった薄皮を毒血が透して見えるのである、それから間もなく小孔が開き忽ち液体毒血膿は瀉出しゃしゅつし浄化が終るのである。

 右は体の説明であるが、この際霊は如何なる状態であるかというに、腫物そのままの一種の雲状を呈するのである、いわば曇りである、病気の重い程曇りは濃度である、右の如く曇りが霊の局所に集るかというと、それが不断の浄化作用であって霊全体の曇りが一個所に集溜し、排泄活動が起る、それが病気である、勿論体の方とは密接不離な関係である。

 しかるに腫物の場合、医療は穿孔又は切開によって毒結膿排除を行うが之は大なる誤りで多くの場合毒血膿が充分集溜せざる以前に手術を行う為、切開後非常に長い間毒血膿が集溜し、傷口が塞がらない事がよくある、盲腸炎手術後など何年も傷口が塞がらないのは右の理によるのである、故に堪能なる医家は、腫脹が充分熟するのを待って切開するが、之は全治を非常に早めるのである、処が最初から何等の方法も行わず、腫脹が充分熟して自然に小穴を作り、毒血膿排泄するようにすれば予後は非常に良好にて短期間に治癒する事実は到底手術の比ではない、例えば未熟の手術は一個月を要するものが、熟した手術は十日間で、自然放置は五日間で治癒するのである、しかし困る事は自然熟を待つとすれば排膿までの期間苦痛に堪えないが、一度手術をすれば、一時苦痛を免れるから手術も止むを得ないという事にもなる。

 処が右の苦痛は如何に激しくとも浄霊療法を行えば、苦痛は全然消失するのみならず、膨大赤色の脹れが毒血膿排泄されるまで、無痛であるのをみて人々は驚歎するのである、この不思議な原理を次に説いてみよう。

 さきに、霊主体従の原理を説いたが之は独り人体ばかりではない、一切万有悉くはこの法則に漏れるものはないのである、したがって浄霊の目的はこの霊の曇を解消するのである、之によって霊の曇は虚脱状態となる、つまり霊の生を死に転換するのである、死んだ曇りは力が零となるから、神経を刺戟しない事になる、無痛苦となるのはそれが為である、しからば、尚徹底して浄霊が曇を解消するというその原理は如何なるものであるかを説いてみよう。

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