箱根地上天国完成記念祭御詠 昭和二十八年六月十五日

小やかな 型にしあれど天国は いよよ生まれぬ函嶺の上に
ささやかな かたにしあれどてんごくは いよようまれぬかんれいのえに

神仙郷 天国成りぬ拡ごりて やがて世界はかくやなりなむ
しんせんきょう てんごくなりぬひろごりて やがてせかいはかくやなりなん

大いなる 仕組みといへどいと小さき 型より始まるものにぞありける
おおいなる しぐみといえどいとちさき かたよりはじまるものにぞありける

眼に見えぬ 一つの魂が大自然の 恵によりて人となるなり
めにみえぬ ひとつのたまがだいしぜんの めぐみによりてひととなるなり

兄の花の 主の種春となりぬれば 花咲き四方に匂ふなるらむ
このはなの すのたねはるとなりぬれば はなさきよもににおうなるらん

眼に見えぬ 尊き如意の御光りを 照らせば世界は揺ぎはじめむ
めにみえぬ とうときにょいのみひかりを てらせばせかいはゆらぎはじめん

自然美と 人工美よくマッチして 美の天国の苑吾造りぬ
しぜんびと じんこうびよくまっちして びのてんごくのそのわれつくりぬ

神仙の 苑を訪ねる誰も彼も 口を揃へて賞めそやすなり
しんせんの そのをたずねるたれもかも くちをそろえてほめそやすなり

宗教は 芸術なりと口にすも 形なければ空ろに等しき
しゅうきょうは げいじゅつなりとくちにすも かたちなければうつろにひとしき

数しれず 茨潜りし吾なれど その甲斐ありて足らふ今はし
かずしれず いばらくぐりしわれなれど そのかいありてたろういまはし

天国の 苑に悠々楽しみつ 救ひの業にいそしむ吾かも
てんごくの そのにゆうゆうたのしみつ すくいのわざにいそしむわれかも

人間の 心を汚す塵芥 洗ふ芸術の苑造りける
にんげんの こころをけがすちりあくた あらうげいじゅつのそのつくりける

何物も 思ひのままに集りくるは 如意の力の現はれにぞある
なにものも おもいのままによりくるは にょいのちからのあらわれにぞある

霊界に 時を待たれし神仏 いさみて吾を援くる時来ぬ
れいかいに ときをまたれしかみほとけ いさみてわれをたすくるとききぬ

如来菩薩 大師上人居士禅師 手柄立てんと競ふ霊の世
にょらいぼさつ だいししょうにんこじぜんじ てがらたてんときそうたまのよ

天国の 苑現し世に写しける 例しは未だあらじとぞ思
てんごくの そのうつしよにうつしける ためしはいまだあらじとぞおもう

芸術の 美苑箱根の山の上に 造りて世人楽します吾
げいじゅつの みそのはこねのやまのえに つくりてよびとたのしますわれ

八百万 神も仏も集ひ来て 吾に額づき恵願ぐなり
やおよろず かみもほとけもつどいきて われにぬかづきめぐみねぐなり

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