癲癇 (天国の福音 昭和二十二年二月五日)

癲癇は、精神病と等しく原因は憑霊であるが、ただ異る所は癲癇は一時的発作的である事と、その症状が多種多様である事とである。そうして癲癇のほとんどは死霊の憑依であるから、発作するや死の刹那の状態を表わすのである。譬えばよく泡を吹く、これは水死霊で俗に謂う水癲癇であり、火癲癇は焼死者の霊であり、また脳溢血によって急死した霊も多いが、これは半身麻痺状態になるからよく判る。その他変死者即ち轢死(れきし)、縊死(いし)、墜死(ついし)、銃死等々、凡ては死の刹那の苦悶の状態そのままを表わすのである。近来医学において癲癇療法として、頭脳の切開手術を行う医家もあるがこれらは患者に苦痛を与え、不具者となすだけで寸効もないのである。何となれば原因は霊作用で、全然見当違いであるからである。

次に夢遊病者といって、発作するや自己意識を失い、家を飛出し、所定めず彷徨するという始末の悪い症状であるが、これらも一種の癲癇であって、この憑霊は幼児の霊である。

癲癇の例として、数年前から私の家に使用している下婢の事を記(か)いてみよう。これはよほど面白い例で、最初の頃は発作するや意識を失い、所構わず倒れるが、その際の面貌は物凄い程で、顔面蒼白、唇は紫色になり、舌を噛み口唇から血液が流出している。その状宛(あた)かも殺害された死人と少しも異らないのである。それが本医術によって漸次快方に趣き、近来の発作は極軽微で意識を失う事はなく、多少の不快を伴う位である。その際前額部深部を霊射するや、憑霊は悲鳴を挙げ「助けてくれー」と繰返す。私は「助けてやるからこの肉体から出よ」と言うと「行く所がない」という。憑霊が行く所というのは人間である。この場合全然他人では憑る事ができないから始末が悪い。そうして右の下婢を施術するや前額部へ霊射二、三分にして肩、腕、腹部等へ次々と移動する。面白い事にはその局部を圧査すると必ず毒結がある。そうして憑霊の逃げ廻るのを追かけるように一々霊射する結果、霊は極度に萎縮し、苦痛は一時解消するのである。

この下婢の霊は、祖母にあたる者が不義の子を宿し、出産するや圧死させた。その嬰児の霊である。その嬰児の霊へ、祖母に関係ある狐霊が憑依し、同化霊となって活動するのである。

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