現代医学の誤謬に就ては再三再四、事実を根幹として詳説した事によって読者は或程度の認識を得たであろうが、私は猶言い足らぬ所を述べてみよう。
之は日本の現状をとっての批判であるから読者はそのつもりで読まれたいのである。
現代医学が誇称する如く真に進歩し、その技術の水準が高度に達しているとすれば、何よりも先ず医家自身の健康とその家族の健康が、一般人より優越していなければならない筈である。然るに事実は一般と些(いささ)かの相異もないばかりか、寧(むし)ろ医学博士の短命とその家族が一般人より病弱であり、特に結核患者の多い事は否定すべくもない事実である。又医家が患者に対し、口癖のように言う言葉に「手遅れ」という事があるが、此言葉こそ治癒困難に対する好辞であろう。然るに医家の家族に限っては決して「手遅れ」という言葉は発し得られない筈であり、又常に衛生に注意深い上流家庭の患者も手遅れはない筈である。
然るに本医術の修得者及びその家族数十万人は一般世人に比してその健康は遙かに優秀である事は事実が証拠立てている。それが為現在非常な勢を以て本医術は普及せられつつあるのである。
元来、天地間の森羅万象凡ゆる物の、その生成化育離合集散、栄枯盛衰等を観る時、実に不自然なるが如くにして自然に似て必然であり、偶然であり、空漠たる如くにして厳乎たる法則あり、全く人間の叡智や学理を超越している事実である。故に学問によってその真理を探求せんと、人間は無窮の努力を続けている。
此意味に於て人間それ自身と雖も大自然の中に呼吸し生育し、而して死に至るのであるが、先ず考えねばならぬ事は吾は何故に、如何なる理由によって生れ来ったかである。勿論宇宙の支配者即ち神が此土を経綸する必要からである事は想像に難からない処である。何となれば各民族は固より各個人一人々々それぞれの特長を具えているに察(み)ても明かである。此意味に於て神よりの最高の受命者であるべき人間が健康を害ねるという事は、大自然即ち神意に背(そむ)いているからで、それは如何なる点が反自然であるかを探究し、発見する事こそ根本的解決法でなければならない。然らばその反自然とは何ぞやといえば、即ち浄化停止の方法である。
人間の病気が浄化作用の顕われである如く天地間に於ける天文現象も同様の意味である。それは地上に汚穢(おわい)が充満すれば風に吹き払い、雷火に焼き、雨に洗い浄め、天日に乾燥させるのである。
故に人間の健康も病気も、飽迄(あくまで)大自然の理を基本として解決すべきが本当でそれが真理の具現である。