梅毒
この病気の原因及び症状は、不純の性交後一週ないし三週位にして、亀頭下に豆状の固結(疳瘡・かんそう)を生ずるのであります。
梅毒におけるそれは、無痛であるのと、硬結性が特徴であります。そうして飽くまで進行性で、次で、横痃(よこね)を発生しますが、これも無痛と固結性であります。
次に、全身的発疹、発声不能、毛髪脱落等にまで進むのが、この病気の順序であります。
本療法を行えば必ず全治するので、しかも、案外容易に治癒し、しかも根本的であるのであります。
軽症で一ケ月位――重症で三ケ月位であります。
軟性下疳(げかん)
この病は、梅毒と似てはおりますが、全然異って善性であります。
症状は、不純な性交後、二、三日にして疳瘡を発生し、次に横痃を発生するのでありますが、それだけで、それ以上に進行しないのが特色でありますから、梅毒のような心配はないのであります。そうして疳瘡も横痃も必ず痛みがあり、柔軟性であります。
本療法を行えば、短時日に容易に治癒するのであります。しかし、梅毒即ち硬性下疳と軟性下疳と併発する事がよくあるから注意を要するのであります。
前述のごとく、硬性下疳と軟性下疳との区別を明かにした医学の功績は、賞讃に価いすると思うのであります。
右二種の病共、最初は多少の発熱を見るのであります。
治療は、軽症で一、二週間位――重症で一ケ月位であります。
淋 病
この病気は、不純な性交後二、三日位経て、尿道に不快を感ずるのであります。最初はムズ痒く、次は、排尿の際痛みを感じ、なお進んで耐えられぬ激痛を感ずるもので、相当の発熱もあります。そうして、悪化するに従い、盛んに白色の膿が尿に混って出るので、その際コップに採って見る時、濛々(もうもう)として煙のごとく不透明であります。
発病後、普通一週間目位が最盛期で、それを過ぎると、漸次、快復に向うものであります。そうしてこの病気は統計上、飲酒家に多いので、世間よく「下戸(げこ)は梅毒、上戸(じょうご)は淋病」という言葉がありますが、そういう傾向のあるのは事実であります。
治療の場合、触指は不可能でありますから、霊的施術のみでいいのであります。
急性は速かに治りますが、慢性は相当の時日を要するのであります。
元来、淋病なるものは、一度罹病するや、医学上でも終世全治せぬものとされていますが、これは事実であります。勿論、黴菌による伝染ですが、全治したようでも、実はその黴菌は死滅するのでなくて、活動力が衰耗したのであります。
それは、繁殖力と伝染力を失っているに過ぎないので、言わば、有機的動物性から、無機的植物性に変化したのであるから、いつ、飲酒その他の不純性動機によっては、有機性に還元し、再発しないとは言えないのであります。
慢性になり易いのはこの理によるからであります。
これら花柳病は、霊的に言えば、不純行為に対する――″天の警(いまし)め″とも言うべきものであるから、患者はその非を自覚し、再びせざるべく悔悟する、その精神が治癒を速かならしむる力は、予想外大なるものがあります。
そうして、尿道疾患であるから、出来るだけ水分を飲み、排尿を数多くするのが、洗滌的効果があるので、その際、松葉を枝共煎じて服用すれば特にいいのであります。それは、松脂の成分が、菌の巣窟へ対し、パラフィン紙で密閉するような作用をするからであります。
そうしてこの病気は、移行する性質のものであるから、その点大いに注意すべきであります。それは摂護腺炎、睾丸炎、膀胱疾患等にまで及ぶからであります。
最盛期を過ぎるに従い、尿中に淋糸と名付くる木綿糸位な膿糸があり、それが漸次短くなりつつ治癒するのであります。しかし全治後といえども、数年は多少の淋糸を見るのであります。軽症で二、三週間――重症で一、二ケ月かかります。
摂護腺炎
この病気は、淋毒が尿道の深部へ深部へと移行し、ついに摂護腺の粘膜を犯すので、症状としては、患部の痛み、排尿時の痛み及び発熱等であります。
治療法は、淋病と同一でありますが、触指は有効であります。
この病気は、治癒までに相当時日を要するのであります。まず軽症二、三週間――重症一、二ケ月を要します。
睾 丸 炎
この病気は、摂護腺炎が進行して、ついに睾丸を犯すのであります。
症状としては、睾丸の激痛、腫れ、発熱等で、一方の睾丸だけの事もあり、複睾丸炎即ち左右両方の場合もあります。
本療法によれば、割合治癒し易いので、短時日に全治するのであります。何となれば、淋毒が睾丸炎まで進む頃には、浄化力の為、相当膿汁が弱性になっているからであります。
軽症一週間――重症二、三週間であります。