御教え*メシヤ教/神様の経綸(御教え集11号 昭和27年6月25日②)

 いつも言う事ですが、メシヤ教が宗教的に活動を始めたのは二十二年の八月ですから、三、四、五、六、七と、今年の八月で満五年になるわけです。この間も、フランスの大きな雑誌で、『パリ・マッチ』の主筆が来て、色んな事を聞いたんです。今どの位の信者があるかと言うので、まあ三十万以上あるだろう、と。いつ始めたかと言うから、五年前。その始めた時はどの位の信者かと言うから、数百人くらいだろうと言うと、どうも信じられない様で、吃驚びっくりしたようでした。だからいかに発展の速やかだという事は分かります。一体その根本は何かというと、病気が治る事です。こう(御浄霊)やって病気が治るという事です。だから私の弟子はキリストくらいの奇蹟の出来るのは、なんでもないと言うと、カトリックなんかが非常に根強い――キリストを信じている。するとキリストよりか以上とすると、一体どういう神様か。キリスト以上の神様は、カトリックでは無いとしている。と言うから、私はキリストは天の父という事を言っているではないか。即ち天の父という神様はキリストより上じゃないか。等と、そんな話がありました。それで美術館を見せてやりましたがね。何か言うと、奇蹟だと言うんです。本当の値打ちは、外人ですから――それに、あんまり美術の研究が深くないようですから、解らないらしいですが、見た目が立派ですから、良いと思っているのでしょうが、こんなものがたくさん蒐まったという事は奇蹟だと言っていました。

 そんな訳で、奇蹟ずくめです。この美術館、神仙郷から熱海ですね。色々――五年間の仕事にしては驚異だろうと思います。ここに来た時には、昭和十九年の五月でしたが、その時には最初神山荘です――あそこを買ってましたが、当時十六万円でした。ところが私の懐には六万円しかない。十万円どうしても足りない。で、その話をしたところが、その時分に坂井さんがよく来られる時分で、じゃなんとかやったら出来ない事もありますまい、と言うので――その時は宗教的じゃないですから、病気の治った人が宗教信者みたいに数百人という程もないくらいですが、百人か二百人あったんです。その人がみんな金を出して、十万円か十一万円出した。それでやっと買えたんです。それから二、三カ月して熱海にも良い家があるというので、私は行って見たが非常に気に入ったんです。今の東山荘です。その時に値段が分からなくて――それも坂井さんと一緒に行ったんですが、帰りに私は三十万円位なら買おうと、そんな話をして、それから聞いたところが七十万と言うんです。それはとても駄目だから諦める他しょうがないと言っているうちに、渋井さんに話したところ、一つ出来るだけやってみましょうと、それで三十万円くらいお金を持って来たんです。とにかく、じゃ買う方針でやってみようとやっているうちに、段々集まって来て、それから相当足りなかったが、又渋井さんが足りない分を持って来て、どうやら七十万の金が出来て買えたんです。それ程その時分にはピーピーしていた訳です。普通では少し大胆過ぎるんですが、そこがやはり神様を後ろ楯にしてますから、神様がなんとかしてくれるだろうという訳でやったんです。それに最初そういう経験があったんです。今の東京の宝山荘ですね。あの時にも、あの辺を探して歩いて、あそこが非常に気に入ったんです。聞いてみるとその時分に十万円です。よし、じゃ買おうと――買おうと言っても、こっちは五千円しか無かった。こっちは買うつもりになって、それで歌まで書いたんです。その時分には随分ずいぶん――むしろ無茶をやったんです。その時分に信者なんてない。わずか十人か二十人病気が治って信者みたいな人があったんです。おまけに払うのも、きざんで払ったんです。最初私の懐の五千円と、五千円借りて一万円にして、それで売る人も苦しいので――毎日借金で取られて苦しいので、一万円くれたら越すからと言うので、一万円やって越してもらって、色々苦労して三、四万円やった時に、あそこが競売きょうばいになった。今でも裁判してますが、五島慶太という人に取られたんですよ。競売で取られたと思っていたところが、弁護士に聞いてみたところが、決定するには一週間だ。一週間前になんとかすればつながると言うんです。七日一杯に駄目になるんです。それで七日の日に弁護士が日を忘れて気がつかなかった。それで七日の日に申立書を書いて、裁判所にある何かのポストに入れたのが夜の十一時です。あと一時間遅かったら駄目です。まあ九分九厘ですね。それでやっとつながったんです。それであそこを土台にして基礎を作ったんです。その大変な役目をしたんです。その役目をしたのも、僅か一週間の違いでなったんです。実に、神様のする事はハラハラする事があったんです。近来はそういう事はないが、最初の内はそういう事がちょいちょいありました。ですから随分色々障害を乗越えて来たんです。熱海に来てからも、脱税問題とかなんだかんだ色々ありましたが、何しろ邪神との闘いですから、邪神はひっくり返そうとしてやるんですが、それは神様の方は――邪神は九分九厘で、神様は一厘ですから、一厘の違いですから、一厘で始終ひっくり返してます。大本教のお筆先に面白いのがあります。「今度の仕組は九分九厘と一厘の闘いであるぞよ」なんてね。全くそうです。とにかくそんな貧弱であったのが、今日美術館から、これは世界に誇るべきくらいのものが出来たという事は、僅か数年の間に出来たんですから、一大奇蹟と言って良いでしょう。この美術館を造るにも、みんな知っているでしょうが、去年の今頃は未だ未だ――あそこをかっぽじって、石を割ったり色々な事をしていた。とにかく美術館の敷地だけ作って置こうというのでやっていたんです。十月頃になると、フッと気がついて、これはここに美術館を一日も早く建てたいですから――これはこの間新聞にも出してあった通り、そういった計画を始めて、それから私が図面とか、中の間取りという様なものを書いたんですが、夜一時間くらい二晩で出来ちゃったんです。さもなければ設計なんか商売人にやらせるつもりだったがそんな必要ないので、それからすぐに建築屋の方に任かした訳です。ところが、しかし金はやっぱりいくらもなかったですから、それこそ余裕なんかというのは少しもないです。そこに美術館なんて建てるというと、最初は一千万円以上かかるという様な設計でした。で、阿部さんに相談し色んな事情を調べてみると、どうやら出来ない事はないという様な話なんで、私もやはりそういう時は神様に乗っちゃいますから、神様が何んとかするというので、とにかく始めようというので、始めると丁度るだけの金が集まって来て、ちっとも金の心配なく出来た訳です。まあ皆さんのお骨折も大いに役立たしていますが、しかし神様は余裕というものは決して与えない。困らせない代わりに、余裕というのは与えない。実に不思議です。

 しかしとにかくそんな様で、すべて美術品なんかが入るのも奇蹟的に割合安く入るんです。で、こっちの懐具合をちゃんと神様が見てやられるとみえて、こういう良いものが蒐まったのは不思議だ不思議だと言ってます。そんな様なわけでこの美術館というものは世界にないはずなんですよ。そういう様な神様が御守護をする人は他にないから、かないっこないですね。

神様の経綸

 それで神様の経綸というものはいつも言う通りかたで行くんです。こういった美術館が出来ると、之が段々広がって世界的に美術が盛んになる訳です。だから、もう現に大分美術思想が、なんだかんだ盛り上がって来ました。で、しかも外国との美術による交通です。日本の美術が――昨日の新聞にも、なんでもフランスに四十点か行く事になってますが、あっちの美術品もこっちに来る。それからアメリカで日本の美術の展覧会がある事になってます。この間アメリカのロスアンゼルスで支那陶器の展覧会があったんですが、その時に日本から十五点か出したんです。しかし、その点においては日本とちょっと違います。どこの家には何があるか、どこの美術館には何があるかとか調べてあって、ちゃんと注文して来る。ちゃんと調べてある。その内の十五点やった。ところがイギリスとかアメリカのものも随分出たんですが、やはり日本の十五点が一番だったそうです。で、あっちの雑誌のトップに日本の美術品が出ているんです。それから批評なんかも、三分の二は日本のが出ていたそうです。で、一品一品鑑賞するそうです。フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、イタリア――その辺の支那陶器なんです。調べてみて、やはり日本が一番なんです。断然群を抜いてます。で、日本でありながら支那陶器まで世界一という事は面白いんですが、これは理由があるんです。というのは、日本の支那陶器は伝世でんせいと言って、昔から伝わっているんです。大体藤原時代あたりから入ってますから――その前にも幾らか入ってます。とうのものなんかは奈良朝時代にも入って来てます。ところが他で買ったのは、支那から買ったんです。支那から買ったという事は、みんな土中物どちゅうものと言って土に埋まっていた。日本のは土に埋まらないのが昔から伝わって来たんです。だから同じ支那物でも、日本のものと西洋にあるものは違います。土に生けるのとは、全然艶が違います。伝世と言って、昔から日本に伝わったものは綺麗なんです。そこで支那陶器でも、今言った通り日本は素晴しいものです。そんな様な具合ですから、日本美術というのは殆ど西洋にはなかったので、ここにある支那陶器の――大英博物館は支那陶器で一番としてますが、全体から言ってもここの美術館の支那陶器の方が、それよりか上です。二、三負けているのもありますが、全体から見てここの方が上です。ですから、これだけの美術館の――支那陶器は一部ですが、それでいて大英博物館に勝っているという事は、神様の仕事という事が良く分かるんです。時間が来ましたから、そのくらいにしておきます。

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