余り、病気の事ばかりだから、少し変わったのを――これを読まないうちにさっきの――禅宗とバラモン教の事を言いましたので、それを書いてます。
御論文「仏教における大乗小乗」のあとの御教え
この大燈国師の有名な看読真詮榜(かんどくしんせんぼう)〔看経榜(かんきんぼう)〕という巻物がある。後醍醐天皇が非常な信者で、大燈国師に絶対的にしていた。で、後醍醐天皇をお助けしょうとして看読真詮榜という――随分長い巻物です――後醍醐天皇を助けて頂きたいという意味で書いて、仏様にお願いした訳ですね。これは有名なもので大燈国師の看読真詮榜と言って大変なものです。容易に見せないんですが、特別に見せてくれたんですがね。中々、書体も力強い書体です。見ていると、迫力が――まあ、身の引き締まる思いがすると言うが、そんな様な具合で、私も感心した。これは余談ですが、後醍醐天皇が、ああいった不幸な目に遭って、結局位を捨てなければならないと言うのは、この影響がある。大体、禅はバラモンから来るんです。名誉とか、天皇とか言う位は、信仰に徹底すればなくしなければならない。取ってしまわなければならない。だから、一生懸命になればなる程、天皇の位に止どまる事ができなくなる。天皇の中で後醍醐天皇なんか一番不幸な人でしょう。それは、信仰の影響ですね。それに違いないですね。