『文明の創造』科学篇「婦人病」(昭和二十七年)

 一口に帰人病といっても、種類の多いのは衆知の如くであるが、何といっても子宮病が主であろう。子宮の役目としては、月経と妊娠の二つであるが、月経に就ての病気といえば、先ず月経痛と月経不順であるが、前者は月経時、一日乃至(ないし)数日に渉って、多少の痛みがある。之は何が原因かというと、経血が嗽叭(らっぱ)管を通ろうとする際、嗽叭管の入口が狭いので、拡がろうとする其痛みである。何故嗽叭管口が狭いかというと、下腹部の其辺に毒結があり、圧迫しているからで、 之を溶解排除させれば容易に治るのである。勿論医学ではどうにもならないので、長年苦しんでいる女性もよくあり、実に可哀相というの外はない。

 又月経不順と一口に言うが、之には遅れ勝ちと不規則なのと、経血の多い少ないとがあるが、此原因の殆んどは貧血及び濁血の為であって、真の健康にさえなれば必ず順調になるのである。茲で是非知っておかねばならない事は、結核患者の月経異常である。之は月経が普通にある間は、病気は軽い証拠で、決して心配はないが、病気が進むに従い貧血し漸次量が減って遅れ勝ちとなり、末期に至ると例外なく無月経となるのであるから、婦人患者の結核の軽重を知るには、月経によるのが最も正確である。序(ついで)に今一つの関連した事であるが、病気が重くなり、月経が減る頃は陰毛迄も脱け、最後には無毛となる者さえある。

 次は妊娠であるが、之は婦人にとっては病気ではなく、寧(むし)ろ健康な証拠であるが、近頃は妊娠するや婦人の多くは、喜ぶよりも反って恐れたり心配したりするが、之も一面無理はない、何故なれば妊娠中色々な故障や病気が起り易いからで、大抵の人は悪阻(ツワリ)の苦しみは勿論、結核、パセドー氏病等のある人は、医師は危険であるとして、人工流産させたり、又人によっては出産となるや、難産の場合さえあるので、本当に安心の出来る人など先ずないといってもよかろう。之に就て考えなければならない事は、右のような種々の障害は実は変則であって、恐らく昔の婦人はそういう事は余りなかったようで、記録等にも見当らないのである。としたら医学の進歩とは逆効果で、理屈に合わない話だが、之が即ち医学の盲点である。逆効果とは全く薬剤の為であって薬剤多用者程成績が悪いのである。而(しか)も自分ばかリではなく、早産、死産の外、生れた赤ん坊に迄影響するので、近年多い弱体嬰児や発育不良がそれである。そうして本当から言えば婦人が妊娠し、子を産むという事は、婦人に与えられた立派な役目であるから順調に経過し、無事に出産するのが当然であり、故障など発(おこ)る筈がないのに、起るというのはそこに何等か間違った点があるからで、其間違った点に気が付き改めればいいので、今それ等に就て詳しくかいてみよう。

 妊娠の場合、最も悩みとされているのは悪阻(つわり)であろう。此症状は今更説明の要のない程誰も知っているが、重いのになると生命迄も危くなるので、仲々馬鹿にならないものである。此原因も医学では判っていないが、之は至極簡単な理由である。即ち子宮が膨張する場合邪魔しているものがある。それは臍部(さいぶ)から胃にかけての毒素の溜結で、それが膨張の為、其排除作用が発る。之が悪阻であって、何よりも頻繁な嘔吐によってそれが排除されるのである。此毒素は然毒と薬毒とであって、出るだけ出て了(しま)えば完全に治るが、医学では原因も判らず、判っても出す方法がないから、気休め程度の手段か、堕胎させる以外方法はないのである。

 其他よくあるものに妊娠腎がある。勿論症状は浮腫(むくみ)であるが、之は医学でもいう通り、腎臓障害即ち腎臓萎縮である。此原因も曩(さき)にかいた如く、平常から腎臓背部に毒結があり其圧迫がある処へ、妊娠の為前方からも圧迫されるので、腎臓は言わば挟み打ちとなって萎縮し、全部の尿が処理されず、溢れて浮腫となるのであるから、背部の毒結を浄霊溶解すれば、腎臓の負担が軽くなり、治るのは当然である。処が医学ではどうする事も出来ないので、重症の場合親の生命には代えられぬとして人工流産させるが、折角出来た大切な赤子を犠牲にするのだから、実に気の毒な話である。而も此時は大抵八、九ヶ月頃であるから、猶更(なおさら)親は悲歎に暮れるのである。

 茲で妊娠に就ての医学の考え方に就てかいてみるが、前述の如く結核やバセドー氏病等の病気のある婦人に対し、危険として流産させるのは大いに間違っている。何となれば妊娠するという事は、其人の健康状態が無事に出産出来るだけの体力があるからで、言わば母になる資格が具(そなわ)っている訳である。そうでなければ、決して妊娠する筈はない。之等も医学の考え方が唯物一方に偏しているからで、人間本来の神性を無視し、動物と同一視する誤りである。之は理屈ではない。私は今迄右の理由によって、妊娠した帰人に、どんな持病があっても差支(さいつか)えないと、只(ただ)浄霊だけで悉(ことごと)く無事に出産させ、一人の過ちさえなかったのである。此事だけでも、医学の考え方を、大いに変えなければならないと思うのである。

 次に婦人病の個々に就てかいてみるが、何といっても子宮の病が王座を占めている。先ず子宮内膜炎であるが、之は子宮の内壁に加答児(かたる)が出来る。つまり毒素が下降して、子宮内壁から排除されようとする湿疹のようなものであり、今一つは下降毒素が内壁の粘膜を刺戟し、加答児を発させるので、どちらも気長に放っておけば必ず治るのである。処が滑稽なのは、此際よく掻爬(そうは)をするが、之は何にもならない。というのはホンの一時的の効果で、毒素のある間は後から後から汚すからである。之に就て私はいつもいう事は、子宮掻爬は歯糞を除るようなもので、物を食えば直きに汚れると同様で、それも歯を磨く位の簡単な事ならいいが、帰人として最も羞恥(しゅうち)の場所を指で触れさせるのであるから、断然廃(や)めた方がいいと思う。又子宮実質炎というのは、子宮の周囲に毒素溜結し、それに浄化が起って、微熱、軽痛、不快感等で、これも放っておいても治るが、浄霊すれば、短期間で全治するのである。

 よく不妊娠の場合、子宮後屈とか前屈とかいって手術を勧めるが、成程之は子宮の位置が不良となり、子宮口が外(はず)れるので、妊娠不能となるのは、医学でいう通りである。では前後屈の原因は何かというと、毒素溜結が子宮の前か後からか圧迫する為で、医学は手術によって其毒素を除(と)り、一時は正常な位置に復すが、日を経るに従い再び毒素が溜結、元通りになるので、一時的効果としたら、大袈裟(おおげさ)な手術迄するのは、ツマラヌ話である。今一つ考えて貰いたい事は、よく医学の診断で、後屈の為妊娠不能と云われた者が、手術もせず其侭にしておいて、妊娠した例もよく聞くのである。以前私は大学病院でそういわれた帰人が、其後三人の子を生んだという事を本人から聞いたのであるが、之なども医学の研究がまだ不充分であるからで、多くの人に迷惑をかける以上、充分確信を得る迄は、言わない方が良心的だと思うのである。

 次は子宮癌であるが、真症は滅多にないもので、普通医師から子宮癌の診断を受けた者でも、殆(ほと)んど癌ではなく、子宮外部に溜った濁血の塊である。そうして医学では更年期以後出血がある場合は、先ず癌の疑いを起せと言われるそうだが、私の経験上此説は誤りである。何故なればその年頃癌と診断された患者を、今迄幾人も浄霊したが、間もなく大量の出血があり、癌とされていた手に触るる程の塊も消散して了うからである。之によってみても子宮癌と診断された患者は、殆んど経血の古い塊と思えば、先ず間違いはあるまい。之等も医学が今一層進歩したら必ず分る時が来るに違いない。

 次に子宮筋腫であるが、之は其名の如く子宮を牽引している両側の筋が、腫(は)れるというよりも、其一部に固結が出来るので、其浄化による苦痛であって、医療は手術によって除去するが、幸いそれで治る場合もあるにはあるが、多くは其附近に再発し勝である。此病気も浄霊によれば根治されるが、相当日数を要するものである。

  次に卵巣の病気であるが、之は殆んど卵巣膿腫と卵巣水腫とであって、症状もよく似ている。只固い柔かいがあり、人により軽重の差も甚だしい。従って悪性か又は医療の結果によっては頗(すこぶ)る膨大となり、臨月よりも大きくなる場合がある。医療では手術によって割合容易に除去され得るが、之で卵巣だけの病気は治るが、他に影響を及ぼすから厄介である。最も始末の悪いのは性格が一変する事で、一つなら左程でもないが、二つとも除去されると、殆んど男性化して了うと共に、一生涯不妊となるのは言う迄もない。此外目に障害を起こす事もあり、盲目同様になる者さえある。又何となく身体全体が弱り、人生観迄変って、陰鬱(いんうつ)になったり自棄的となったりする、現在医学では手術より方法がないから止むを得ないが、之も浄霊によれば完全に治るのである。原因は薬毒と萎縮腎による余剰尿が溜るので前者は膿腫となり、後者は水腫となるので、何れも腎臓の活動を促進させれば治るのである。

 茲で婦人病に就て、根本原因をかいてみるが、元々婦人病の一切は、体内に保有している毒素が、漸次下降する為であって、下腹部に溜れば子宮、卵巣、嗽叭管、膀胱等の障害となり、尚下降すれば痔疾、並に一般陰部の病原となるので、之等は後にかく不感症の原因中に詳説するから、茲では婦人によくある白帯下( こしけ)に就てのみかいてみるが、元来婦人の白帯下は非常に多いもので、随分悩んでいる人もあるが、実は之は非常に可いのである。というのは諸々の毒素が液体となって排泄されるからで、出るだけ出れば下腹部全体は、非常に快くなるものである。それを知らない医師も一般人も心配して停めようとするが、之が最も悪く、反って病気を保存させるようなものであるから、注意すべきである。

 次に近来大分喧(やかま)しく云われているものに彼の不感症があるが、之は医学でも全然判っていないし、婦人にとっては之程将来の運命に関わる重要なものはないから、成可(なるべく)詳しくかいてみよう。人も知る通り折角(せっかく)結婚しても、何より肝腎な夫からの愛情を受け入れ難(にく)いので、どうしても夫婦円満にゆかず破綻を生じ易いのである。そうでなければ夫は外に愛人を作ったり、又不妊になったりするので、結局不幸な運命になる婦人が案外多いようである。としたら何としても全治させなければならないが、困った事には之を人に相談する訳にもゆかずといって医療では全然治せないから、満足な家庭も作り得ず、独身者より外(ほか)道はない事になり、独り悶々の日を送っている女性も少なくないようで、実に同情に堪えないのである。処が浄霊によれば必ず治るのであるから、女性にとって之程大きな福音はあるまい。では先ず其原因其他に就てかいてみるが、一番の原因は言う迄もなく萎縮腎であって、腎臓は医学でもいう如く、ホルモンの製造元であるから、腎臓が萎縮すれば活動が鈍り、ホルモンが不足となる。それは曩にかいた如く、腎臓背部にある固結の為であるから、それを溶かせば治るのである。又今一つの原因は、陰部を中心に周囲全体に絶えず下降する毒素が溜る事である。其為下腹部に溜れば、前述の如く子宮はじめ、種々の障害となり、尚下降すれば痔疾、膣痙攣(ちつけいれん)、掻痒(そうよう)症、粘膜の加答児、尿道障害、全面的湿疹や糜爛(びらん)、痛み、臭気、不快感等に苦しむのである。特に摂護腺(せつごせん)部に腫れや固結が出来たり、左右何れかの大小陰唇(いんしん)部に毒結が出来、それが鼠蹊(そけい)部に迄及んで、足の運動を妨げられたりする。特に摂護腺部の故障は大いに悪いが、之等すべての診断は、自分自身で押してみればよく判る。必ず痛み又は塊がある。といっても場所が場所だけに、浄霊も自分か又は夫に行(や)って貰えば、それで結構治ってゆくのである。但し相当長引くから、そのつもりで気長に根気よくやれば段々快くなってゆき、希望も湧くと共に、必ず全治するものである。以上の如くであるから、此事を知ったなら、如何に天下の女性は喜ぶであろうか、之程素晴らしい救いはないであろう。

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