余は本年五拾四歳なるが、四拾歳頃迄は実に病弱其者にして、健康の日数よりも病弱の日数の方多数なりしなり。例を挙ぐれば、拾五歳以上四拾歳迄の二十五ケ年間 に、眼病二年、猛烈なる脳貧血半ケ年、肋膜炎二回にて一ケ年余り、肺結核一ケ年 (当時入沢達吉博士より死の宣告を受けたり)扁桃腺炎十数回、類例なき歯痛四本持 続的に一ケ年以上、淋疾三回、出血性痔核二ケ年、脚気三ケ月、肺炎一回、腸窒扶斯 (チョウチフス)(当時岡田博士より死の宣告を受けたり)盲腸炎二回、腎臓炎一回、腰部神経痛三月、右足神経痛半ケ年、胃弱一ケ年、大腸加答児無数等にして、如何に病弱なりしかを想像され得べし。是等病患を、其都度医療に依って治療を施せしも、殆んど医薬に依って治癒したりと思ひし事は洵に僅少にして、其多くは食餌療法、自然療法、灸治、信仰、禁厭(マジナイ)等にて治療し得たるなり。随而終(シタガッテツイ)には此貴重なる生命を、現代医学に托するは、頗る不安なるを感ずると共に、大なる欠陥あるを認識し、 此の上は独自の研究に依って健康問題を解決せざるべからずと、爾来拾数年、医薬以外のあらゆる療法を試み、自己の身体を供して実験せしなり。然るに今より拾余年前信仰生活に入り、八年前、観世音菩薩の神懸ありて種々の霊示を与へられ、それに依って健康法の真髄と医薬の欠陥を覚り得て、全く闇黒より白昼に出でしが如く明々となれり。爾来身体は絶対的頑健に改造され、更に進んで神霊的療法の霊力を享け、今日迄に千数百人に施したる処、其効果の顕著なる、人類史上全く空前なる成績を挙げつつあり。是に於て観世音菩薩の本願たる、救世済民の一方面として先づ医学の根本的革正を期し、此の文を草する所以なり。