※子供に愛人が出来た
《お伺い》 子供に愛人が出来た場合、親からみて、将来が案じられる時、どうしたら宜敷いでしょうか。添わせるべきでしょうか。それ共、無理に離すべきでしょうか。
《御垂示》 どうも出来ないでしょう。本人が――添わなきゃ承知しないでしょう。その位の愛があれば結構です。
《お伺い》 ところがお道の方で夫婦仲の悪い事がよくありますが。
《御垂示》 つまり見合結婚と恋愛結婚の優劣でしょう。
《お伺い》 いいえ、そうでは御座居ません。
《御垂示》 まだメグリがあるからで、そう言うのはウンと喧嘩して、メグリを取ったら良い。今の恋愛問題ですが、あれは別のものですね。もし愛し合うとしたらどうする事も出来ない。それをどうかすると、決して良い事はない。ですから本人任せにしておけば良いのです。
※大僧正から頂いた書
《お伺い》 以前大僧正から南無妙法蓮華経と書いたものを戴いて居りますが、このお道に入りましたので必要はなくなり、気持が添わない様で御座居ますが、誰かにやっても宜敷いでしょうか。
《御垂示》 やってはいけない。仕舞っておけば良い。
※啓書記
《お伺い》 絵画の事ですが、日本画の啓書記とありましたが、やはり墨絵で、私の持って居りますのに、松と鷹の絵ですが、啓処とかいてありますが。
《御垂示》 啓書記と言う人は、何しろ非常にうまいですから、うまけりゃ、啓書記と思えば良い。私は一番好きです。日本画じゃ啓書記が好きです。啓書記と言うのは足利時代で、支那から帰化したと言う説がありますがね。そうかも知れないですね。あれが段々狩野派となって来た。啓処と言うのは弟子かも知れないね。
※日本人と外国人の総合芸術
《お伺い》 専門家によりますと、日本人は、目は外国人に較べて良いんだそうで御座居ますが、聞くと言う事が弱いと言うので――鑑賞が出来ないと言うので御座居ますが。
《御垂示》 鑑賞が出来ないのは教育のせいです。西洋人の方が歴史的に音楽を聞く事が多いから、音楽を聞くと言う事が楽しみですから、と言うのは、外出が多いからですね。日本人の昔は外出は余りしなかった、と言う訳だから、向うの方が音楽に発達したというのです。社交的ですね。二つの理由があります。日本は封建的ですからね。三つあります。封建的で、一つは交際したり―四つ理由があるな。人と交際したり――仮に日本の女なんか――今は出しゃ張ったりするが、殆んど外出はしないからね。室内に居るからね。亭主は亭主で、つまり亭主関白で威張りきっているから、女房は小さくなっている。商人階級はそうでもないが、武士階級なんかは、親父は威張っていて、それで殿様の前じゃ口きかないで――窮屈です――全てが。そこで、そういった音楽なんか特種階級に限られている。偶々武士が音楽をやると謡曲か何かでしょう。良い機会がないですからね。それから食物を考えなければ、――どうしても動物性の物を食うと活動的になりますから、じっとしている事が出来ない。日本はどうしても昔から菜食が多かった。菜食をすると何うしても大人しく蟄居(ちっきょ)的になります。そう言う食物の関係がありますね。それから名誉欲、優越欲そう言うものが、唯物人種の方が強いですからね。そう言う訳で、音楽や芸能に、人に負けないものを作っている。だから偉い作曲者が出来た。西洋は何んな作でも作曲者がある。日本の音楽――小唄なんかには作曲者がない。向こうの人間は肉食するので非常に知能的になる。色々工夫する。つまり音楽を聞き、楽器、作曲等の工夫が発達する。日本は静的です。東洋は静かです。西洋は動的だから動くんですね。
その点が芸術に対して影響している訳です。之から日本も西洋風に近ずく。現にそうなっているからね。そこで、最も動的なのはアメリカですね。アメリカを見れば、ヨーロツパは静的ですね。東洋はもっと動的になり、アメリカはもっと静的になる。綜合芸術と言うものが之から発達して行く。今迄色んな色を作ったでしょう。今度はその色々な色を混ぜて絵を画く。そう思えば一番分かる。
※井戸の水
《お伺い》 六月十五日午後一時から井戸の水が重油をあけた様に変わりまして、午後六時頃から清い水となって飲食に使用しております。毎日で御座居ますが。
《御垂示》 そこから石油がわくんじゃないですか。
《お伺い》 そう言う事は御座居ません
《御垂示》 何処です。
《お伺い》 石川県F郡 N.S
《御垂示》 濁った具合は泥と違いますか。
《お伺い》 何か――黒い色になります。
《御垂示》 油ではないですか。
《お伺い》 違います。
《御垂示》 それで、時々きれいになりますね。
《お伺い》 午後六時になると、きれいな水になります。家は家族全員入信。光明如来様を御奉斎させて戴いております。
《御垂示》 濁った色は濃いですか。
《お伺い》 真っ黒ではないですが、かなり濃いです。
《御垂示》 臭いは。
《お伺い》 しません。
《御垂示》今度サイダー瓶か何かに入れて持って来て御覧なさい。見てあげます。