そう言う話はその位にしておいて、昨日箱根に行って美術館を見て来たんですが――おかしいんですよ。私が「今日箱根に行こう」と言い出すと、直ぐに曇って来て雨が降って来た。どうしても箱根に行く時には雨が降るんですよ。これは何時も言う通り、箱根は火ですからね。火は水によって火力を増すんですから――そこで、非常に結構な事です。それが、余りにはっきりしている訳ですね。この事は、私の身体でもそうなんです。私は、今でも湯に入りますが――入ると、私はぬる好きですから――相当ぬるいんです。普通の人より、びっくりする位ぬるいです。そうして出てからどうしても、裸で一時間いなければ熱くてしょうがない。着物を着られない。なぜかと言うと、私の腹の中に、光の玉ですね。つまり火の玉です。これがやっぱり身体全体に光がありますから、湯に入ると、その水分によって熱を増すんですよ。それで熱くなるんですね。それと同じ様に、つまり箱根は、要するに水力がなくちゃいけない。大いに火力を強める為ですね。それで雨が降る。こう言う訳なんです。美術館も、大体骨組みだけはできて、あとは壁を塗ればできる位のものですがね。何しろ、ああ言う建築は割合簡単ですからね。始末は良いです。色んなややこしい事がないですからね。で行って中を見て驚いたのは、案外広いんですよ。そう沢山陳列できないかと思っていた処が、どうしてどうして中々品物が沢山陳列できるんです。ですから、すっかり陳列したら、無論日本一ですね。皆んなびっくりする訳ですね。で、堂々たるものです。私はあんなに立派になろうとは思わなかったですね。中に入って見ると、個人――個人て、教団ですけれども、ちょっと政府とか市とか――そう言うもので建てた建築みたいに思われるんです。実に堂々たるものです。それで、部屋の取り方や何かですね。そう――非難したり、欠点がないんですね。ちょうど良い位です。そんな訳で、私も非常に満足したんですが、今度は――建築は良くても、肝腎な、中身ですね。これが良くなくちゃいけない。中身も、やはり神様がやっておられるから、非常に旨く行く。素晴らしい物が並べられるんです。これは、中々――買い切ってーー陳列すると大変な金ですから、それはできないけれども、つまり偉い――元の財閥とか、それから華族とか――そう言う人達があって、皆んな有名な品物ですから――売ると、直ぐ税金に関わったり、信用に関わるんですね。あそこの家は、あれを売る様じゃ、もう駄目だと、信用に関わるから、売ると言う事もできない。そうかと言って、金は欲しくてしょうがないと言う家が沢山あるんです。そこで私は、売らないで、幾分金を出すんですね。そこで、損料を支払って、美術館ができたら、借りると言う様にすると、非常に具合が良いんですよ。で、今そう言う様な話を進めていますがね。そうすれば、先方も出品するんですからね。何にも差障りないんです。それも、設備の悪い怪しげな家では、名誉に関わるから具合が悪いが、こっちはいささかもひけ目はないから、むしろ喜んで応じるだろうと思います。それから京都、奈良のお寺でも、財政に困っている。そうかと言って、寺の物を売る訳にもいかないで困っている。そう言う所も、相当なお礼をして借りると言う事も、割合旨くいきそうなんです。ですから、そう言う様な具合にして普通見られない様な品物をできるだけ陳列するつもりです。でき上ったら、日本中の評判になると思ってます。今年の教団の大きな仕事の、最初の現われとしては美術館ですね。これはいずれ熱海にできる。もっと、ずっと素晴らしいものです。箱根はその一つの見本の様な――試験的の様な意味で造ったんですが、それでさえ、今言った様な具合ですからね。いずれ熱海にできるのは、これは世界的なんですね。外国にもない様なのを造ろうと思ってます。しかし、これは中々大変な金ですからね。いよいよとなる前に、神様が何とかするだろうと思ってますがね。しかし、こう言う事も、これは普通じゃそんな事は言えないですね。大変な金を、その時神様が何とかするだろうと、そんなノンキな事を言っていられない。処が、そう言う点は安心なもので、必要のある時は神様がちゃんと、金の入る様にしてくれますから――そんな訳で熱海の方も、できる様な――敷地ですね。敷地なんかが、皆さんは始終行って見られているでしょうけれども、中々規模が大きいんですからね。非常に暇がかかるんですよ。人から見ると早い早いと言いますが、私から見ると、中々暇がかかる。仮に、今やっているのは「ツツジ」の山ですが、植木屋が急いで「ツツジ」を植えちゃったんですが、見ると、どうも山の形が気に入らない。それでしょうがないから、抜いて一時仮植えして、山の形を直そうと、今拵えにかかってます。そんな様な具合で、思った様にやるのは何だ彼だ――色んな、思いもつかない様な手間がかかる。処が、それが段々できて来るんです。熱海の方の敷地だけできる様になるのに、かれこれ今年一杯はかかるんじゃないかと思いますね。早くて八月あたりですね。それから、桜の山を作るんですが、これは来年以後になるでしょう。今年では、未だ手をつけられない様です。幸いそう言った、その方の土地は約束はできてますからね。今の桜の山も「ツツジ」の山よりずっと大きいんです。何倍と言う大きさです。規模も、今でも大きいですが、神様は中々大きいんです。それから、大きい――色々計画されるんです。実に、微妙と言うか面白いと言うか、それはどう言う訳かと言うと、隣なら隣の地所を買ってくれと言って来るんですよ。そうすると、それが手に入ると、なるほど良い形になると言う様な――そう言う事が始終ある。ですから、先ず敷地があらかたできて、最初メシヤ会館が、それから展望台と、それから祭典の時や何かの準備する所ですね――役員なんかがね。そう言う所を、展望台の後に造ろうと思っている。展望台に、一番最初私の住居を拵えるつもりでしたが、私の住居を拵える所は、別に良い所が見つかりましたから、祭典の準備をする所にと思っている。そんな具合で、会館と展望台は一ぺんにできちゃうと思う。展望台の方は造作ないですからね。ただ、ガラスの半円形の物を造るだけですからね。それが一段落して、美術館の方になる。そんなこんなで、早くて来年の暮あたりになるが、それ迄に敷地を充分準備して置こうと思っている。まあ、そう言った様な、今年の仕事の概略です。
その他に、この間も言った通り『結核の信仰療法』と言う本ですが、これは今迄の本と違って徹底的のものなんです。今迄私が、医学や健康に関して色々書きましたが、これは思い切って書けなかったですね。どうしても――あんまり刺激して、面倒な問題なんか起っちゃいけないと思って、ある程度緩和して書いたんですけれども、そんな事を言っちゃいられなくなって来たですね。結核なんて言うのは、年々増えていくんですからね。これはうっちゃらかして置けなくなった。そこで明らさまに、私の思った通りに、本当に書いたんです。何しろ、結核はお医者が作っている――増やしていると言う事ですから――何と言うか、お医者に対する――医学に対する挑戦ですね。原子爆弾をぶっつける訳ですね。それで、でき上ったら、日本中の大学、医師会、病院、療養所、それから著名なお医者さんとか――そう言う所に、みんな配ろうと思っている。今迄は、なるべく刺激を避けて、信者を主にしていたが、今度は敵の本陣に向かって爆弾をぶっつけ様と言うんで、きっと相当なセンセーションを起すと思いますね。どの程度かは、今迄やった人はいないから分かりませんが、相当な問題になると思いますね。そうなると、結局止むを得ず闘う様な事になるんですね。ただ、先方は何と出て来るか、ちょっと予想はできませんが、じっとしてはいられないですね。例えば、病院なら病院でも、お医者ばかりでない、他の人もいますからね。それから、政府ですね。厚生省、国会連中とか、各新聞社――今迄、恐らくこんな事をやった人はないんですからね。けれども、これはそうしなければならないんですからね。この為にどうなろうと言う事は考える必要はないんです。真理は真理ですからね。どっちが良いか――お前達のやっている事は、こう言う訳のものだと言う事を、そこにはっきり暴露するんです。まあ――これも大きな仕事だと思うんです。今年の内に――もう大体――この二、三月頃出版する事になるでしょう。見ものだと思うんですね。話はその位にして置いて――今日は春だから、原稿は読まないつもりですけれども、お笑い草に「寸鉄」だけを。