*瑞雲郷 御教え集3号 昭和二十六年十月一日⑥

お祭りや引っ越しの為にあんまり書く事ができなかったので、今日は話の方が多い位になりましたが――昨日熱海の地上天国に行って見たんですが、道路が大分できて、実に規模が大きくなったですね。私が熱海に来る迄に仕上げ様と言うので、道路は馬力をかけてやった様で、非常に捗(はかど)って、展望台を取り巻く道路がすっかりでき上がっているので、驚いている。以前も随分大きな規模に見えましたが、今度できた道路によって、規模が雄大に見えて来た。益々世界的になって来たと言っても良い位になって来た。真ん中の山ですが、もう一息ででき上がるはずです。「つつじ」を植えるには、下の土が良くないと根の張りが悪いんです。美術館の所に植えたが、勢いがない。どうしてかと言うと、土の下に石があるからです。今度は良い土にしょうと思う。展望台の後ろがやりかけになっているので、それをもう少し湾曲させると土が出るので、それを上っ側にやれば良い。その方針でやりつつありますが、土が要る時は、余分な土が出る様に前から準備してある様になっている。それから「つつじ」の二千本を箱根の岩崎から買ったが、あれを植える心算(つも)りであったが、考えてみると、箱根の方も今に大きな殿堂を造る予定ですから、箱根の「つつじ」も惜しい気がするんです。神様が何んとか旨くしてくれると良いなと思っていたら、昨日植木屋が来て、伊東のちょっと行った所に、二十種類位の「つつじ」が何千本もあって、非常に安いんです。相当大きな「つつじ」が一本百九十円と言うんです。これはいかがですと言うんです。それは良い。箱根のはちょっと惜しかったからね。箱根から運ぶのより、伊東の方がかえって便利ですから、早速買えと言って置きましたが、それを植える心算りです。あそこの山の形が出来ましたら。随分雄大なものです。そうして道も殆んど勾配もなく、平らのままで山の上に行っている。土地の無駄がなく、段々できていくんですが、よほど前から神様が準備している事が良く分かる。美術館の方も、あそこは大体、秋の様な風景にしようと思う。最初の入口は大体春ですね。地形の南――南西の方になる。ですから梅を植え、桃を植え、桜を植える。少し奥に行って「つつじ」を植える。と言う様に、春にする。美術館の方は、できるだけ「もみじ」を植える。それから、箱根の様に萩の道をつける。そう言う様に秋の風景にする心算りです。箱根の方も春秋にして、裏山の方に一面に「もみじ」を植える心算りです。今度熱海の方も春、秋と言う事になるんです。去年小田原の閑院宮さんの別荘に行った時、東屋を見たが素晴らしい東屋で、雄大な物です。それが非常に気に入ったので譲り受け様と思っている。若し譲らなければ、その通りのものを造ろうと思っている。それを美術館から上に上がる所にちょうど良いんです。それで一段落ですね。そうして、晴々台の横の方を、この間も話した通りに桜の園にして――あの辺に大きな池を作る心算りです。庭と言うのは、どうしても池がなくてはいけない。山水と言って、山があれば水がなくてはいけない。

 ずっと上の方に水道の水源地みたいなものができていて、水量は随分ある。それを入れて池にする。神様がちゃんと準備しているんです。池も支那風の池を作ろうと思う。これはいずれ、もう少し進んでから話もしますが、梅もちょうど良いのがあった。それを六十本ばかり買う事にした。これは木の太いものです。今梅を植えかけて、空いている所に植える心算りですが、大抵それで一杯になるだろうと言ってました。一万本以上あるらしいのですが、これは梅の実を採集する為に――ですから、梅の実が目的ですからね。梅は太くなると余り実がならないので、そこで古い――実がならないのは売りたがっている。こっちは古いのが良いんですからね。割合安く買いました。梅と「つつじ」は植えても直ぐ咲くそうですから、来年は咲くでしょう。今度できた道の所に寒桜を植え様と思う。あれは赤い方が良い。そこに、十数本植えるだけの土地がある。それで、十数本売ると言う話がある。寒桜は熱海にも一本しかない。それが十数本ある。これも神秘なものですね。中々見事なものです。一月から二月にかけて咲くんですが、中々珍しい。神様は実に行き届いたもので、何から何迄用意してある。何か必要があって見つけると、お誂えのものがある。値段も安くてね。今言う、「つつじ」の二千本も、梅の古木も寒桜も、ちゃんと近所で用意してある。面白いですね。これからも地上天国の色々な点に、神様は用意してあるんです。ですから、凡ゆる事が、実に神秘ずくめ――奇奇蹟ずくめですね。

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