医学断片集(11~14) *歯の痛み/脂肪肥り/治療という言葉/神経という言葉(栄光159号~162号)

医学断片集(11)  歯の痛み 

 今日こんにち歯の痛みについて、最も多い原因は何かというと、虫歯の空洞うろをセメントや、アマルガムを詰める場合、必ず消毒をするが、之が悪いのである。というのは消毒薬が時日を経ると、腐敗して一種の毒素となり、其毒素が排除されようとして歯根に滲透し、骨へ穴を穿け、肉を破って出ようとする。其激痛を歯医者は歯根膜炎というのである。

とすれば絶対消毒薬を用いなければ、何を詰めても、決して痛む事はないのである。としたら消毒薬ではない。増毒薬と思えばいいので、之を一般の歯医者に知らせたいと思うが、何よりも試してみればよく分るであろう。(栄百五十九号  昭和二十七年六月四日)

医学断片集(12)  脂肪肥り 

 世間よく脂肪ぶとりという言葉があるが、之は間違いである。何よりもし脂肪で肥るものならば、肉食者は肥り、菜食者は肥らない訳だが、事実は其反対の事の方が多いのである。では肥る原因は何かというと真の健康で肥る人はまことに少なく、殆んど腎臓萎縮と薬毒の為であって、そういう人に限って身体からだが重く、充分働けないものである。そうして漢方薬中毒の人に肥っちょが多いもので、よく青んぶくれというのがそれである。又前者は萎縮腎で、尿の処理が悪いから浮腫が出る為であり、近来女学生などに肥っちょの多いのも、授業中などの場合男子とちがって、便所へ行くのを億劫おっくうがるから、尿が腎臓の周囲に溢れて固まり腎臓を圧迫するので、其又余剰尿が身体中へ廻って、段々肥って来るので、之を吾々は小便太りと云っている。何よりもそういう人は丈夫そうに見えても案外弱く、病気に罹り易いものである。後者は薬毒が少しづつ溶けては全身的に溜るので、この肥り方は局部的、変則的が多いからよく分るのである。

医学断片集(13)  治療という言葉 

   医学では病気を治療する事は、全然出来ないといったら驚くであろうが、之は真理であるから仕方がない。では誰が治療して呉れるかというと、それは自分自身の体である。従ってし医療で治るものなら、手術の必要はない訳である。つまり医療では病気の個所が治らないから、止むを得ず其個所を除去してしまうのである。又痛みの場合痛みを除る事が出来ないから、痛みを感じる神経の方を麻痺させて、感じさせないようにするのである。だから怪我をした場合、出血を止めるのも傷ついた皮膚や肉を作るのも人間自体である。処が医学ではそれを補う働きをするのが、医療であるとしているが、事実は反って邪魔をしているので、治りが遅れるのである。此理によって手当や療法は無意味という訳である。

医学断片集(14)  神経という言葉 

お医者さんは“貴方の痛いのや苦しいのは神経の所為せいで、病気は何もありはしませんよ”という事はよく聞く言葉であるが、ここに一寸考えて見て貰いたいのは、病気がないのに苦痛があるとしたら、実に可笑しな話ではないか。若しお医者さんの言う如く、病気がないのに苦痛を感じるとしたら、其神経は確かに病気に罹っている訳であるから、それを治すのが本当の医学ではないかと云いたいのである。

タイトルとURLをコピーしました