それから、一昨日の晩文部省の人ですが、今度アメリカから帰って来て、一遍メシヤ教を調べる――と言っても、悪意じやないんですよ。まあ観察をしておくという必要がある、という様な意味で――どっちかと言うと、善意と興味ですね、そんな点で、私も一遍会いたいと思ったので、会いましたがね。色んなアメリカの話なんかしました。アメリカにも色んな新しい宗教ができているそうです。日本が新宗教が大変あるように、新聞なんかに書いてありますが、そうでないらしいですね。アメリカも同じような傾向らしいですね。その宗教のやり口を見ると、メシヤ教に非常に良く似ているんです。似ていると言って、あちらは自由ですからね。そんな点が似ているので、大きさはとても似ている訳じやない。その人は中々新智識の人で、役人らしくない人で、話が面白かったです。先も共鳴したし、私も大いに――役人と話している様な気がしなかったですね。昔の知人か友達の様な気持ちで話をしました。やはり、アメリカは美術という事が非常に盛んになってきたです。特に日本美術ですね。それに憧れを持って、鑑賞するとか研究するとか、見たいとか――そういう事が非常に盛んになって来たようですね。それで、その人の話なんかも、色々総合してみると、ちょうど――美術館を今度箱根に造ると、あれが時宜に適していると言いますか、実に機運にピッタリするようでして、矢張り神様が――その空気とか情勢とか、そういう事をチャンと醸し出して、そこにピッタリ当てはめる様なやり方をされるんですね。神様は自由自在ですから当たり前ですが、特にそう思われるんです。それで日本美術と言ったところで、いつも言う通り、世の中には美術館や何かあっても、日本美術というものはほとんど無いんですからね。今度初めて造るようなものです。それで、色々調べてみますと、今度箱根の美術館に並べるものですね。博物館の美術品よりか確かに上ですね。かなり上ですね。ただ、仏教美術――それだけが負けているんです。それは、博物館の方はお寺から自由に借りますからね。博物館が持っているものはいくらも無いです。ほとんどお寺から借りたものですからね。いずれ、こっちもお寺から借りるとか買うとかしますがね。そうすると、こちらも良くなります。それまでは――今のところは、致し方ないですがね。あとの絵画、蒔絵、陶器(陶器は日本と支那との両方ですが)これだけは箱根の美術館の方が相当上になってます。だから、見た人はびっくりりするだろうと思います。陳列の方法も、今までの様な――ただ雑然と、ガラス箱の中に品物を並べると言うだけでなくその品物が色々ありますから、その品物によってケースを合わせていく。色々の、見る人の目の角度ですね。光線の具合――そういう事に大いに意を用いてありますから、その点も――今後の美術館の模範にされるべく力を入れてあります。日本でも、相当そういった美術館の計画があるようですね。最近聞くところによると、大阪の藤田ですね。藤田組ですね。あそこでも、そういう傾向がある。あそこは終戦前の美術品を随分買い溜めてある。それがそっくり手をつけずにあるそうですから、これは中々見るべき物があるらしいです。いずれあっちの方に作るだろうと思ってますがね。それから阪神電鉄の美術館も、早晩作るそうです。あれは、あそこの美術品の交渉する、何とか言う人で古美術については中々権威者だそうです。東京の方は余りそういう事は聞きませんがね。とにかく今度の箱根の美術館は、余程センセーションを起すだろうと思ってますね。しかも外人もですね。無論世界的に注目の的になるに違いないですね。そこで、まあ――外客が日本に来た以上は、箱根には必ず寄りますからね。箱根に来た以上は、必ずこっちの美術館を見るというように、外客はほとんど洩れなく見るだろうと思ってます。今差し当たって必要なのは、英語のできる人ですね。英語ができて、そうして美術品に対して――それ程専門的知識はいらないけれども、とにかくいくらかそういった経験があるとか、さもなければ、そういう事が非常に好きだという人がありましたら――信者さんなら尚結構ですが――心掛けてもらいたいと思う。そういう人が2人くらいいるんです。外人が沢山来ますからね。それから、アメリカの美術館なんかに関係した人を私は知ってますが、あっちの人は、日本美術について、非常に説明を聞きたがるんだそうです。だから、無論そういった通訳的説明の人が大いに必要だと思うんです。中々、2人や3人では間に合わないと思うんですが、とにかくそういった適当な人がありましたら心掛けてもらいたいと思うんです。それで、箱根は日本的に造るんですが、いずれは熱海に、これは本当の世界的の素晴しいものを造ろうと思ってます。それは相当先のつもりですが、箱根だけでも、今言ったような具合ですからね。まあ、信者さんも大いにお蔭をいただけると思うんです。これは、お蔭と言ったところで、霊的じゃないですよ。と言うのは、随分大勢来るだろうと思いますから、ああいう物をゆっくり見ると言う事はできないですね。ところが信者さんは、信者さんだけが見る時間がありますから、ゆっくり見れますから、そういうお蔭は請け合いですよ。面会の時間までに――9時からとすると、9時から11時まで2時間は信者さんが見られますから、非常にゆっくり見られると思います。話はそのくらいにしておきます。
御教え*箱根美術館完成(御教え集9号 昭和27年4月15日②)
