肝臓病と胆臓病『岡田先生療病術講義録』下巻(三)昭和11(1936)年7月

  胆臓は胆嚢ともいい、肝臓に包まれているもので、昔から肝腎要めといって、肝臓と腎臓は大切なものになっております。この外に、脾臓、膵臓などがありますが、これは病気にあまり関係がないから、省略する事と致します。

 ちょうど胆臓を心臓とすれば、肝臓は肺のように一つの保護的な位置になっております。

 医学の解釈では、腸で選り分けたものを肝臓で、血液、漿液、脂肪などに分けて、身体の方々へ送る事になっております。

 胆嚢の中には、胆汁があって、それを始終胃へおくり、消化を援けている訳であります。

 肝臓癌

 肝臓の病気としては、まず肝臓癌で、肝臓のみの場合もあり、胃痛又は腸癌から移行される事もあります。

 それで肝臓癌は、まず胃のように内出血はしないが、実に悪質で、執拗(しつよう)であります。

 しかし、これは衰弱はなはだしくない限り必ず治るものでありますが、相当時日を要します。軽症で二、三ケ月――重症で五、六ケ月位であります。

 胆石病

次に胆石病は、胆臓の中へ石が出来る。その石が一個の場合もあり、数個の場合もあります。

 これは非常に痛む。石の出来る場合に痛むのであります。どういう訳で石が出来るかというと、水膿が胆嚢中へ入ると、胆汁と化合するので、化学的作用によって石になるんであります。

 この場合は胆嚢の後部から水膿が入るんであります。この膿は、最初脊〔背〕髄から出て腰に滞溜し、それが脊髄から二寸位の右側を上昇して胆臓へ入るのであります。

 胆石で五年位苦しんでいる患者が、四、五回の治療で治ったのがありましたが、この患者は脊髄の右側から胆嚢の後あたりまで水膿が棒のように溜っており、又、腰にも溜っていて、腰が非常に冷えるのであります。

 すべて水膿は非常に冷えをよぶものであります。それで棒のようになった水膿溜結を溶いたら、胆石病はピタリと治ったのであります。

 なお、黄疸(おうだん)は、肝臓部に塊がありますから、これを治療すればいいのであります。
          (昭和十一年七月)

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