一、緒言  自観叢書第7篇『基仏と観音教』

昭和24(1949)年10月25日発行 観音教団編纂部

 吾らはここに世界の二大宗教であるところのキリスト教及び仏教の発生と発達とを一瞥し、教義を検討し、かつ人心に与えたる影響などをも考察し、あわせて教祖岡田自観大師の思想及び観音教団の教理をも説明して広く天下有識者の批判を得たいと思うのであります。

 いやしくも一つの宗教を建立し、それが多数人心の琴線に触れて大成するのには、それ相応の理由が存するのであります。まこと世に偶然と言うことはあり得ないのであります。つまりキリスト教の発生や発達にも、また仏教のそれにも、そこに当然な理由を認められるからであります。

 わが観音教団が発生して以来日なお浅いのにもかかわらず、信徒は既に十数万を超え、しかも益々増加の一途をたどっておるのみでなく、その理想実現のために計画している宗教事業も次第次第に進歩発展の域にあるということは、世の必然的要求に合致するものがあるためなのであります。一般世人は動(やや)もすると既成宗教に対してはほとんど無批判的に謳歌してしまい、新興宗教に対しては少しも検討することなく、一概に軽視してしまおうとする傾向がありますが、誠にそれは慨嘆に耐えません。

 既成宗教とて必ずしも完璧だとは言えません。キリスト教にも仏教にも批判する余地は十分にあります。というのは、双方共に派をたててお互に論難し、抗争している事実に照してみても明瞭でありましょう。

 また逆に新興宗教といっても、卓越しているものが全然ないとは言えないのであります。現に科学的な根拠の上に「大愛」の宇宙精神を提唱し、又勤労と向上とを説く教祖岡田自観大師の宇宙観と人生観とに対して、絶讃を寄せて来る識者は決して少くないのであります。


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