大光明世界の建設 「支配階級の改心」(病貧争絶無の世界を造る観音運動とは何? 昭和十年九月十五日)

 社会悪や不幸は、凡て結果であるという事は、膏薬張の救いで述べた通りである。ちょうど、河川の濁るのは、上流の源が濁るからであるのと同一の理である、故に社会の溷濁(こんだく)は、社会全般の指導者たるべき上層階級が浄まらなくては、百年河清を待つとても、駄目である。

 大臣級が、市ケ谷へ収容されたり、市会や府会の絶えざる疑獄、教育者の瀆職(とくしょく)、宗教家の堕落等々、数え上げたら、限りがない、これでは、いくら教化団体が骨を折っても、既成宗教が活動しようと、効果の挙がらないのは当然である。

 社会悪の発生する原因を、自分達が造っておいて、その社会悪の根絶に腐心するというのは、ちょうど親爺(おやじ)が、妾や女狂いをしながら、伜(せがれ)に、倫理道徳を説くようなものである。

 もっと真剣で、真面目でなくては駄目だ。政府が、非常時財政を救おうと思うなら、まず第一番に、御自分達の俸給、何割かを割(さ)いて、国家に献上して、模範を示すべきだ。また富豪は利益を公開して、その半分位は、国防資金として出してもいい、各会社は、五朱以上利益配当があったら、その幾分かを、赤字補塡として、国家に差出したらどうだ。

 また選挙粛正も結構だが、今更慌てて、神官に頼んだりして、その運動を援助させようなどとは余りに泥縄式である。

 それにはまず、常から内閣には、天照皇大御神の御神霊を奉斎し、閣議の前後に礼拝し謹んで祝詞を奏上すべきだ。なお進んで各官庁、学校、会社、工場に到る迄、同じく天祖の御神霊を祭って、仕事の前後に祝詞を奏上させるのだ、そうしたら社会は如何に浄化さるるであろう、特に、選挙粛正などをやらなくとも、選挙などは公正に行われる事は、断じて疑いないのである。

 故に社会から、不幸と罪悪をなくする根本的条件は、支配階級の改心である。改心を舎(お)いて、他に方法はない事を、断言しておくのである。

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