宗教と政治 (信仰雑話 昭和二十四年一月二十五日)

 政治と宗教とは大いに関係があるに拘わらず、今日迄余り関心を払われなかったのは不思議である。寧ろ宗教が政治に関与するを好まないばかりか、反って政治から圧迫されて来たというのが終戦以前までの実状であった。之は古往今来各方面に見らるる現象で、宗教によっては迫害の強い結果、一時は法燈の将に消えなんとした例も乏しくはなかった。然し乍ら、宗教の目的である理想世界を造り、人類の幸福を増進せんとしても、政治が良くなくては其目的は達し得られない道理である。此意味に於て良き政治には良き政治家が必要となって来るが、良き政治家たるにはどうしても宗教心がなくてはならない。今後の時代をして理想社会を実現せんとするには、先づ宗教を政治に織込む事であると、私は思うのである。

 政治家の最も陥り易い欠点は、外国は知らないが日本に於ては瀆職問題であろう。然るに此原因は宗教心のない唯物的政治家だからである−−と言えよう。何としても今後は宗教的政治家の輩出こそ吾等が要望する処のもので、それによってのみ将来の国運の進展を期待し得らるるであろう。

 私は新日本建設に当っては、何よりも政治家に宗教心を培ひ、宗教政治が行われるようにならなければならないと思う。今人々は口を開けば政治の腐敗、選挙の不正、役人の瀆職、人民の脱税、教育家の堕落等を挙げるが全くその通りで、此泥沼同様の社会を浄化せんとして、為政者を始めそれぞれの当事者人民大衆が苦慮してをり、その防犯手段として法の力のみを頼りにしてゐるが、之は全然根本を逸してゐる。何となれば犯罪の根拠は人間の内面にある魂そのものであるからである。此魂を浄化する事こそ真に効果ある方法で、それは正しい信仰以外他にない事を私は信ずるのである。 

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