今度アメリカから帰って来た人で、あちらの大学に行っていた信者がありますが、その人がこの間あっちの病人の状態を色々細かく統計的に書いて来たのを昨夜読んだのですが『栄光』にも出すし、それから小冊子のような物を作ってアメリカに配ろうと思っている。大変な病人なのです。日本に負けない位なものです。現在医者にかかっている人が千七、八百万人いる――人口が一億五千万人ですから、一割強がお医者の御厄介になっている。それで一番多いのは胃癌、小児麻痺――これはアメリカ特有のものです。それから結核が中々多いです。その他にも肝臓だとか喘息だとか色々な病気がありますが、一番困っているのは小児麻痺です。小児麻痺も、聞いてみると、ほとんど疑似小児麻痺です。霊の憑らないものです。大抵足が痛くて動かない――先の、死んだルーズヴェルトなんかそれでしたが、それなのです。原因は無論薬毒です。大体注射です。それに全然気がつかないので、やっぱり薬で治そうとするが治る筈はないのです。そういう事――病気の原因を精しく書いて、アメリカ人を救わなければならないと思っているのです。今このままで行ったら、もう百年位でアメリカ人は亡びてしまうでしょう。その為、病気の為に色々な方面に影響を及ぼしているのです。で、強い薬を服んで一時抑えをやっているのです。一時抑えが効かなくなったら大変です。つまり薬の迷信にかかっているので実に可哀想なものです。今、世界ではアメリカが医学は一番進歩している。ドイツを凌いでいるという事になってますが、結論としては医学が進歩するから病人が増えるのです。そこに気がつかないのですから厄介なものです。ところで、段々霊界が変わって来るに従って、浄化が強くなって病気が起る。そうするとまた強い薬で抑えようとするが、抑え切れないから薬の毒を余計強めるわけです。ところがまた、霊的には余計浄化が強くなるから、薬と浄化との闘いです。現にもう闘っている訳です。ヒドラジドなんかも、この間――ある病院での研究によると、用いた後は一時良くなる。そうすると大抵二、三週間、長いので二ヵ月位で、一旦減った菌がまた増えてくる。その菌は非常に強い菌なのです。それで、そういった菌が強くなる――つまり悪化するのが、今迄の統計では約三割増えてます。で、まだ今は三割ですが、これが段々浄化が強くなると、五割六割にもなって、結局あれを使ってはいけないという事になります。何時か書いた「結核新薬を嗤う」というあの論文の通りになります。そんな様な具合で、いずれはアメリカあたりで大変な問題になると思います。その前に警告を与えておこうと思ってます。そうしていずれ英文『栄光』というのを作ろうと思っている。今のところの予定は、ハワイで丁度適当な人がありますから、そういう人にハワイで発行させて、こっちの『栄光』の翻訳と、特にアメリカ向きの記事も書こうと思っている。そうしてアメリカ人を救うという事の仕事をしなければならない。やはり今世界をリードしているのはアメリカですから、世界を救うという事は、まずアメリカ人に分からせるという事が一番効果がありますから、そういう方法をとろうと思ってます。それで、かえってアメリカの方が分ってくると日本人が分かるのです。
どうしてもやっぱり輸入しなければ駄目なのです。舶来中毒にかかっているから、やっぱり舶来迷信でしょう。他のものはそうでもないが、ああいった学説とかいうものは、やっぱり舶来迷信にかかっている。まあその迷信を利用するよりないのです。
講和以前はそういう事は、やはり言えなかったのですが、もう講和になれば言っても差支えないのです。とにかく日本人というものは非常に霊的に優秀なのです。これは一層深く話しすると分かるのですが、日本人というものは、何故優秀か――段々そういう事も話します。もう、世界では一番なのです。ですから美術でもそうです。今、美術は日本が世界一というような世界的な世論になってます。今度アメリカで日本の美術の大展覧会を開催するので、それについてこの間来たウォーナー博士、フリアーという個人の美術館の館長のウェンリーという人、それからニューヨークのメトロポリタン博物館――これはアメリカでは一番ですが、そこの東洋美術部長のプリースト氏、ウェンリー氏とプリースト氏はこの間来て非常に褒めてました。ウェンリーという人に、この美術館でここがいけないという所が何かあったら遠慮なく言ってくれと言ったところが、別に大してないが、皿みたいな物を見ると疲れるから、自分の所では目の角度に合わしたような陳列の仕方にしている。と、そんなものだと言ってましたが、それは私も承知してますが、巻物だとか皿は立てては、やはり面白くないのです。皿としての意義が違うのです。皿は上から見るのが、皿としての鑑賞の仕方で、こう(立てる)やっては額みたいになって、どうも感じが良くない。巻物でも同じです。でも、巻物はいくらか斜めに拡げてあるから良いのです。その人は日本通で、御飯を御馳走しましたが、坐って――その時一番美味いと言ったのは鰻です。蒲焼です。それからテンプラを食べ、奥さんと両方ですが、箸で食べているのですから、余程日本趣味が多いのです。そういう人はアメリカ人でも相当あるようですが、特に日本美術と日本建築、こういう事に非常に関心を持ってます。そんなような具合で日本人の美術的感覚はとにかく断然世界一です。日本の次は支那ですが、全般的には日本人の方がずっと上です。これは段々話しますが、西洋ではそういった美術とかいう気性の高いものは、日本人ほどにはいかないです。とにかく――今朝もラジオの「趣味の手帳」で亀井勝一郎という人が昨日、今日、明日と、奈良の仏像についての批評をしましたが、今日は法隆寺の中宮にある弥勒菩薩を話してましたが、あれは観音だろうという説もあると言ってましたが、弥勒菩薩と観音様は同じで、その区別を知らないのだが、あれをロダンの彫刻と比較して言ってましたが、ロダンのは「考える人」という彫刻ですが、考えるのにロダンのは苦悩が表われている。苦心が表われている。ところが中宮寺にある観音様――弥勒菩薩というのですが、考えるというよりか、瞑想にふけっているという、いかにも穏かな柔らかい感じがする。と、そんな事を言ってましたが、これは上手い評です。実際日本美術というものは、そういった平和の感じを非常に良く出しているのです。
また私は、終戦直後『栄光』に出そうと思って、音楽の事を書いた事があります。歌うという事は日本の音楽が歌うのだ。西洋の音楽は、男の方は吠える、それから女の方は悲鳴を上げるというように書いたのです。で、歌うというのは日本の音楽は本当に歌うのだというように書いた。ところが『栄光』の編集をしている人が、つまり日本人の優秀性を書くと、進駐軍の方があるから今のところは止した方が良いと言うので止しましたが、とのかく美術というものは平和の感覚を表わすのが本当です。つまり苦悶とか、あるいは闘争とか、そういうものを表わすという事は、本当の芸術としての本質ではないのです。
話は横道に外れましたが、日本美術というものはまだまだドンドン世界に認められます。今度なんかも、先方は大分要求が多いのですが、良い物を見せてくれと言っている。日本でも中々それに応じ兼ねるのです。それは日本には素晴しい物がありますが、ある程度まで以上の物は承諾しないだろうと思ってます。こっちにもそういった様な物は四、五点ありますから、言ってこないかと思ってます。承知する事も出来ないだろうと思ってます。一つか二つは良いですが――。向こうでは大変な大仕掛な事をやって、品物を運ぶのに間違があっては大変ですから、軍艦で運ぶのだそうです。で、向うの主催者は、ワシントンの博物館、それから今のニューヨークのメトロポリタン博物館、ボストン、シアトル、それからシカゴですか――五ヵ所の博物館と美術館が主催者なのです。それでアメリカじゅう約十ヵ所位を順次に開催して、一年の予定です。あっちの人は今日本の美術に対して非常に憧れているのです。今迄支那美術は知ってますが、日本美術は本当に知らないのです。去年のサンフランシスコの展覧会でびっくりして、もう一つあれ以上のものをしてもらいたいという要求になったのです。そんな様な具合ですから、まあ面白いのです。

