昭和二十七年五月二十六日
【御 教 え】 漸く美術館も出来ましたが、未だ形だけで中は一寸見られません。私が予想したよりも具合良く出来たので非常に満足しているんです。それともう一つは、非常に早く出来たんですね。それに就いて今迄の経緯を書いてみたんですがね。読ませてみます。
(御論文「美術館出来るまで」) 【註 栄光一六○号】
今読んだ様な訳で、つまり宗教を弘げるに就いて美術を利用したという事は、聖徳太子が元祖です。つまり私はそれを世界的にする訳ですね。まあ、これから世界的にするその最初の一歩として、美術館を日本的に造ったんです。然し、これが段々知れるにつれて世界の注目を浴びる様になりますから、やっぱり将来世界的のものにはなるんですね。で、これはまあ――熱海に大きなものを造るその見本として造ったものなんですが、これに依って大体良く分りましたから、まあ一、二年の内に熱海にもっと大きい――私の予定では約三倍位のものを造ろうと思っている。これは本当に名実共に世界一のものが出来る筈です。ですから聖徳太子のやられた事を、もっと新しくもっと広くやったという意味ですね。ですから、この間言った救世観音ですね。救世観音さんを見た時そういう事が良く分かったんですね。その時に、その観音さんの霊が私に入って来たんですからね。で、そういう事を私に知らせた訳ですね。ですから聖徳太子という人は非常に頭が良かった。一遍に八人の言う事を聞いたという事を言いますが、これは大袈裟に作ったものに違いないとしても、とにかく非常に頭は良かったに違いないですね。私も――自分は非常に頭が良いとは思っていないんですが、世間の人があんまり悪過ぎるので、較べてみると非常に良いという事が分かるんです。ですからその点もよく似ていると思うんです。それで今朝も一寸、藤枝さんが来たのでその話をしたんですが、私はくどいのが非常に嫌いなんですね。一つ事を幾度も言われるのはね。だからくどい人は面会しない――話合わない様にしてますがね。くどいというのはどういう訳かというと、その人は頭が悪いから幾度も言わないと理解出来ないんです。それで、人に対しても幾度も言わないと解らないと思うんです。ですから私も幾度もやられるんです。それで、降参するんですがね。そこでくどい人は、その人は頭が悪いと、こう思って良い。
これは私の自慢話になりますが、私は迷うという事がないですね。何かの問題があっても、どうしようかこうしようかという事は――全然ない事はないが殆どない。聞いたり見たりして直ぐ決まっちゃうんですがね。ですから私は買物するのが早い。デパートに行って、直ぐこれとこれというんです。すると、家内なんか他の物をさんざんひっくり返して見た結果、やっぱり私が言ったものなんです。そういう事がよくある。今度美術館に出る友松という人の――やっぱり国宝なんですがね。これは京都の博物館に屏風が六双預けてあるから見に来ないかとのことで、見て買って貰いたいというんです。それで、去年京都に行った時に、博物館に行って拡げて見させたんです。一双でも――一本しか拡げさせない。それで分りますからね。一つか二つ開けさせるんです。何しろ六曲の屏風を見るのに五分ですからね。それでこれを決めたんです。五分位しか掛らない。それで帰って来たんです。私は自分ながら早いと思う。そんな具合ですから、美術館を造るにも庭を造るにも迷うという事はないですね。どうしようこうしようとね。直ぐ分かるんですからね。ですから先の方で呑み込めない事があるんですね。そこで、呑み込めないばかりでなく、あんなに簡単にしたんだから、やっぱり充分御考えになれないんだろうという様に解釈する。そんな様な事で非常に早いですね。早いという事は頭が良いという事になるんですが、私からいうと他所の人は遅いんです。それで仕事が早く出来るから、たくさんできるというわけですね。それで箱根はこうやってやってますが、熱海も出来るだけ報告を聞いて、月に一遍くらいやってみようと思う。それで沢山なんですね。先の報告を聞くと大抵見当つきます。そんな様な訳で、今は原稿を書くし、新聞も雑誌も御蔭話は全部私が目を通すんです。目を通して、この人に読ませるんです。読ませて、幾らか直す所もあるし文を添える所もあるし、それから歌も――歌は訳なく出来ますが、まあ一時間あれば五十も出来ますがね。一番難かしいのは寸鉄なんですよ。これは笑わせなければならない。で、急所をピタッと言って、ははあ成程という様に思わせて笑わせるんだから、これが一番難かしい。他のものは別に何でもない。
『結核信仰療法』も、あれは随分念を入れて――何しろ世界的に、世界中の人に見せるんですから念を入れてやりました。手間が掛りましたが、やっと出来て、これから印刷に掛ります。
今度のは『私物語』という本で――変な題ですが、それを今から書こうと思う。それは非常に面白いと思うんです。今「序文」と少し出来ましたから。
その中での最初の一章ですが。
(御論文「私の神秘」)