岡田茂吉 地震に就て  (信仰雑話 昭和二十四年一月二十五日) | 岡田茂吉を学ぶ

地震に就て  (信仰雑話 昭和二十四年一月二十五日) 

 此の稿は昭和二十三年六月二十八日、福井市を中心として大地震があった直後、参考の為地震に就ての私の所説を書いたのである。

     抑々、神道の天地創造説によれば、宇宙太初(ウチュウノハジメ)は水蒸気のような水泡のような物質であったが、創造的活動が開始され、分裂作用によって、軽きものは天となり、重きものは地となり、天には日月星辰が生れ、地は泥海の如き半固体となった。天理教で唱える所謂泥海時代である。それが年代を経るに従って漸次固体化し、植物及び鉱物等が発生し、次で生物が生れ、最後に造られたのが人間であって、以来進化を続けつつ現在の如くなったのである。

   以上の如く、泥海が固体となるという事は大自然の硬化作用に因るので、硬化するに従い地球の容積は減ずる。所謂地殻の収縮である。此の地殻の収縮が地震の原因であるから、古い時代程地殻の収縮が大きい為、地震も大きかったのである。即ち日本に就ていえば、日本海は地殻の大収縮によって陥没し、海が形成されたものであるから、其れ以前は日本と朝鮮とは陸続きであった事は、日本の各地に象の骨を発見する事によってみても、南方から象が侵入し来った事は信じ得らるゝのであって、其の時代に船で渡来する事は勿論不可能であったからである。

   よく日本に地震が多いのは火山国であるからという説があるが、之に対して私は異論がある。何となれば火山が地震の原因であるとすれば、地震は山嶽地帯に多く起るべき筈なるに拘らず、事実は海に近い所に頻発するのである。然らば何故海に近い処に多いかを解説してみよう。

     元来、日本の国の創成は比較的新しい為硬化が後れてをり、古い国程硬化が進んでゐるから地殻の収縮が少く、地震が少ない訳である。勿論火山に因る地震もあるが、あまり大きいのはないのである。

     元来日本の土地は、古代に於ては、今日の三倍位の大きさであったのが、その三分 の二が陥没し三分の一の大きさになってゐるのである。そうして日本の地震が日本海の海岸地帯に多い原因は、日本海の陥没運動が未だ持続してゐるからで、謂はば海岸地帯には断えず小陥没が起っており、それが陸地に影響するのである。之が地震の原因であるから、震源地は近海の海底であって、此の證拠として関東大震災直後、陸地が一尺以上低下せる所が各地に出現した報告や、越後新潟地方の一部の地盤が年々沈下し、今日の割合を以てすれば百年後には海中になるという事で、住民は戦々兢々としてゐるという、最近の新聞記事によってみても明かである。又日本海に面した所は年々数呎(フィート)づつ陸地が縮少するに反し、太平洋岸は年々数呎づつ拡大しつつあるという、此の二つの事実に就て、私は左のやうな理由によるものと考えるのである。

    地球は地殻の収縮によって、海底は年々沈下し、深くなりつつある為、海面も低下する。勿論太平洋岸の海面も低下する結果、それだけ陸地が現われるという訳でる。元来陸地は略()ぼ完成に近いが、海底は未完成であり、軟弱性が未だ残存してゐる為、特に海底陥没が絶えないのである。然るに日本海の方の海岸縮少は、海底低下よりも陥没作用の方が勝れる事に因る為であると共に、太平洋岸の地震の方が先に 起った為でもある。

     海面低下に就て、特に太平洋岸に面する海岸の岸壁を見る時よく判るのである。海面から低きは二十呎位から高きは百呎位の岸壁に、元波涛に洗われた痕跡が鮮明に露(アラ)われてゐる。又中華民国内の原野から山塩が多く産出するが、之は旧(モト)海であったからで、海面低下によって表われた大平野である。此の理によって学者の唱える氷河時代の遺跡というのは、実は波涛の痕跡であって、高山にあるものは噴火による隆起と共に成立したもので、誰も知る東京の下町地帯も旧(モト)は海であり、旧(モト)浅草で海苔が採れたという事は、其の辺まで海であったからである。

     地震の原因は地殻の収縮であるという事を述べたが、次の如き現象もある。それは地震発生以前、その範囲内に局部的隆起が起る事がある。即ち前兆ともいうべきもので、地殻収縮の場合、地下深く局部的間隙が起る。その間隙に上昇地熱が充填され、膨脹する為である。以上の如くであるから、地震の原因は海底陥没の波動が、陸地に陥没を起させるという理を知識すべきである。

     大きな地震の直後必ず津浪が起るが、之は如何なる訳かというと、海底陥没による凹所(オウショ)へ向って、海流の充填作用が起り、勢余って必要以上に海水が集注する為、氾濫の形に転じその氾濫が津波となるのであるから、此の津浪は短時間にして旧に復すのである。

     私は特に学者諸君に向って注意したいと思う事は、今日迄地震の研究は陸地を主として行われて来たようであるが、前述の如くその原因が海底にある以上、海底陥没の前駆として、潮流に異変が生ずる訳であるから、今後は沿岸潮流の研究こそ、切に希望する処である。

     万有硬化に就て今少しく説明しよう。神道の多くは日本の国は最初に出来た国といふが、私はそうは思わない。それを解くに当って鉱物の例を書いてみるが、先づ陸地に於ての硬化作用は、土が硬化して石となり、石が硬化して金属が発生する、それが実物によく表われてゐる。例えば火山灰が硬化したのが凝灰岩であり、それが硬化して石灰岩となり、石英粗面岩又は石英斑岩となり、黄銅鉱又は黄鉄鉱が発生し、次に金銀が発生する。又粘土が硬化して粘板岩となり、頁(ページ)岩となり、黒鉛や方鉛鉱、閃亜鉛等が発生し、錫(スズ)が発生し、銀が金が発生する。又赤土が硬化して褐鉄が発生し、硫化鉄、磁鉄等々が発生する。又石英から水晶が発生する。石炭及び亜炭は古代樹木が火山灰に埋没され、地熱によって燃焼炭化したものである。其他凡ゆる鉱物はその土壌の性質と、地霊の濃淡、気候の変化、年代の長短、其の土地の植物の成分が雨水によって地中に滲透する事等によって、凡ゆる種類が発生するのである。然るに鉱物の最も硬化せるダイヤモンド及び白金の産出がないにみても、日本はその創成が比較的新しい国である事が判るのである。

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