名刀を作る (昭和二十四年)

 昔名刀を作るには火で焼を入れ、鎚で叩いては水に突込み、これを繰返す。所謂いわゆる鍛えるのである。この理は人生にも当嵌あてはまるが、実に面白いと思うのである。

 本教が開教後日を経るに従って、毀誉褒貶きよほうへん、叩かれたり煮え湯を浴びせられたりヒヤッというような冷水に突込まれたりする事が度々ある。

 これは何故かと人から聞かれる。私は右に対し名刀のたとえを言うので、相手はよく了解するのである。

 この事は昔から人並外れたような仕事をする者は、例外なく名刀的苦難をめるものである。これを宗教上からいうと、神は使命の大きい人程大きい苦労をさせるとの事であるから、寧ろ喜ぶべきである。

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