*血族結婚(御垂示録4号 昭和26年11月8日④)

《お伺い》化学肥料とか、薬物は悪を助長していたと考えて。

《御垂示》そうです。あれで曇らせたからね。血が濁るから霊も曇る。そこで、動物霊がそれだけの力が出るから、それだけ悪い事をする。だから、あれが根本です。肥料を使わない事、それから薬を使わない事、これが根本ですね。

《お伺い》進んで来ますと、大乗の悪――悪と言う必要はなくなる訳で。

《御垂示》いいえ、大乗の悪でも、悪は悪ですよ。

《お伺い》悪を必要としない訳で。

《御垂示》そうです。小乗の悪は残るんです。何世紀かの間は残ります。そんなに短かい期間に、悪がおさらばになると言う事はありませんからね。善と悪で、善の方が少しでも勝てば良い。悪が九分九厘でも、善が十あれば良い。悪が枠から突き破らなければ良い。あの女は、実に好きだと言って、思っているのは差し支えないが、手を握ればそれだけ線を越えたんだからね。

《お伺い》相手が喜んでもで御座いますか。

《御垂示》相手が喜んでもです。あなたにしても、奥さんが見たらどうですか。

《お伺い》結婚してない場合には。

《御垂示》しかし、結婚の意志がなければいけない。

《お伺い》自分で悪とは思わなければよろしいのではないので御座いませんでしょうか。

《御垂示》罪ですよ。行為がいけない。感じより、行為の方が大きい罪です。人を喜ばせるのが根本だからね。だから、そうする事が奥さんが喜べば良いです。しかし、両方で協力的にすると喜びますが、一時的ではいけない。永遠でなければならない。

《お伺い》結婚準備時代と言うのは、あった方がよろしいのでしょうか。

《御垂示》それは良いとか悪いとか言うのではなく、両方が希望するなら良いです。

《お伺い》親として見ていて、ハラハラ致しますが。

《御垂示》けれども、現実的な問題で、結婚の前にそう言う事をすると、破談になり易いんです。男――ばかりに限らず、人間は神秘と言うものに対するものに憧れを持っている。結婚迄、神秘を保存して置くと良いが、前に神秘をあばいてしまうと、どうもあの女はかかあにしたくない。と言う様になるから、結婚迄はちゃんとして、それから結婚すると言うのが本当ですね。その方が良いですね。

《お伺い》相手の理想とか、思想とかに合うかと言う点で、付合うのは、やった方がよろしいのでしょうか。

《御垂示》そうです。理解した方が良いですね。

《お伺い》その場合、親から見ました場合に危ない様な気が致します。

《御垂示》そうですね。しかし、そう一から十迄――と言う事はないから、少しは危ない事もやります。その為に、信仰がないと心配しますが、信仰があれば平ちゃらなものです。神様がちゃんとしてくれます。

《お伺い》血族結婚はどの程度迄で御座いましょうか。

《御垂示》親と兄妹は許されなくて、あとは許されます。従兄でもハトコでも構わない。

《お伺い》親同志が兄弟でも。

《御垂示》構いません。だって、人類の初めは兄弟で結婚したんです。そうでしょう。伊弉諾いざなぎ伊弉冊いざなみにしても、それからできた子供は、皆んな兄妹でしょう。それが皆んな結婚した。さもなければ、人は増えやしない。で、今のは理屈だが、実際が、血族結婚しても、別に片端もできなければ頭脳も悪くない。立派なものです。

 先に日光の湯西川に行った時、平家の残党が三十人ばかり隠れていた。何しろ、何処迄行っても追って来るので、入って来られない程山奥に入って行った。最初は何を食ったかと言うと、野老とろろの根を食って、あればかりで生きていたんですから大したものです。それから米を作ったりして来たんですが、今は人口が九百で、戸数が六百ですか――そうすると、三十人がそれ迄に増えるんですから、それは血族結婚したに違いないです。処がそれでいて、説明してくれる宿屋の娘は二十二、三ですが、実に頭が良い。と言うのは、私が何か聞いても、ちゃんと破綻がない。こっちが聞かんとする事を言う。

 話は違うが、何か聞いたり、話したりして、返事ができる人と言うのは、百人に一人も難かしい。大抵食い違わない迄も、きっちりいかないですね。それから。質問と――答弁のですね。間から、答弁の仕方からで、それで頭の良い悪いが分かりますね。処が、その宿屋の女は、実に合っている。実に良い女だなと感心した。血族結婚の村で、そう言う具合だからね。それで、全然病人がないんです。もちろん医者がないんですからね。九百人の中に病人はないかと言ったら、一人あると言うんです。あんまり酒を飲み過ぎてヨボヨボになったじいさんで、他にない。そこの宿屋は、村長もしているし、私設裁判所ですね。人事相談所、警察――皆んな宿屋の親父一人でやっている。それで、皆んな付いていく。湯西川と言う川がありますが、鮎や山女魚やまめがいるが、誰も昔から食った事がないから食べ様と思わない。それで、十人ばかりで行ったんですが、鳥を食おうと思っても、鳥が一匹もいないんです。無論卵なんか一つもない。ちょうど良い案配に私は持って行っていた。最中もなかだと思っていたが、開けて見たら卵だった。だから非常に良かった。天麸羅もみんな野菜ですからね。菊の花なんかあったが、中々良かった。だから、血族結婚と言うのは差し支えないと言う事は解った。健康も良ければ、頭も良いんですからね。何しろ病人がないんだからね。チフスの注射をしに医者が来るが、村中の者が逃げて行く。医者も嫌なんです。おかしいですね。全員に注射しろと言う命令が出る。そこで医者が来るんですがね。川治かわじの温泉で昼食を食って、それから橋を渡って、四里ある。牛車で六時間かかるんです。だから、人は行かないですね。そこでそういった伝統を守っていられる訳ですね。あれは良い見本ですがね。ああ言う事は、医者の方では隠している様にするんですね。注射をすると、三日位寝てしまう。と言うのは皆んな熱が出るので、それが恐いと言うんです。チフスなんかないんだから、そんな事をする必要がない。それから、飛騨の高山から入った平川村ですか――あそこも平家で、何千人かいる。何時か調査に行ったのを見たが、血族結婚の影響と言うのは全然見られないと言うのが出てました。最も近来は欧米の方でも、血族結婚は差し支えないと言う説が非常に増えて来ました。

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