岡田茂吉 人口増加率逓減の問題 (天国の福音 昭和二十二年二月五日) | 岡田茂吉を学ぶ

人口増加率逓減の問題 (天国の福音 昭和二十二年二月五日)

以上示した処の各国の統計によってみても現在に於ける世界の人口問題の趨勢は略々(ほぼ)諒解されたであろう。そうして要約してみると次の二点に帰着する。

  一、欧羅巴(ヨーロッパ)に於ては十九世紀中葉以後、日本に於ては大正十年以後増加率逓減が始った。

  一、死亡率減少と増加率減少と平行する原因。

右の二項に向って徹底的メスを入れてみよう。

(一) の原因として私は世界人類が救世主の如く思っている種痘の実施そのものである事を断言する。

抑々種痘なるものは1749年英国バークレーに生れ、一八二三年逝去したヱドワ ード・ジェンナーの発見である事は周知の事実である。彼は僧侶を父とし、1792年倫敦(ロンドン)に於て医学士の資格を獲たのである。然るに1710年頃より希臘(ギリシャ)の娘達が痘瘡(とうそう)患者の膿疹中に針を入れ、その膿汁を皮膚に注入すると軽度の痘瘡で済む事実を知ると共に、更に牛痘を以て人痘に代り得る事を発見し、1796年5月14日彼は彼の実子の腕に牛痘を植えてその成功を確かめ1798年愈々(いよいよ)種痘法を発表したのであ る。

次に日本に於ては1849年(嘉永二年)痘苗渡来し、1858年(安政五年)種痘館が開設され西洋医学所となり、漸次国民一般に種痘を施行する事になったのであ る。

そうして種痘によって恐るべき天然痘が免疫となるという事は如何なる理由によるのであろうか。之に就て説いてみよう。

それは種痘によって発病しないという事は、天然痘毒素が解消して無になった場合と、天然痘毒素が在っても何かの理由によって発病しないという此二つの理由を先(ま)ず知らなければならない。元来人間は生れながらにして先天的種々の毒素を遺伝保有している。即ち天然痘、麻疹、百日咳等である。特に天然痘毒素(以下略して然毒と称す)は悪質なるを以て怖れられている。然らば天然痘が如何なる理由によって発病するものであるかというに、それは人体に於ける自然浄化作用に因るのであって浄化作用の為然毒が体外へ排除されんとして全身的皮下一面に集溜されるのである。即ち内部から外部へ向って圧出されるのでこれが発疹である。故に発疹の粒形一つ一つが破れて膿汁が排出されるにみても明らかである。其際の高熱は毒素を排除し易からしめんが為の自然溶解作用である。

然るに種痘なるものは此然毒の自然排除作用を停止せしむるのであり、即ち浄化作用を薄弱ならしむるのである。換言すれば陽性をして陰性化せしむるのである。斯の如く排除力を失い陰性化した然毒即ち陰化然毒は体内に残存する事になる。然らばその残存した陰性然毒はどうなるかというと、之が総(あら)ゆる局部に集溜固結し、種々の病原となるのみならず全身的機能をも衰弱せしむるのであるから、それが体位低下となり、特に婦人の姙孕率低下に及び人口問題の原因ともなるのである。

此事は人口統計を見れば如実に表われている。即ち欧羅巴(ヨーロッパ)に於ては種痘の発見後からであって、統計の示す如く仏蘭西(フランス)が最も早く種痘発見後三四十年を経て、英国は約七八十年を経た頃から増加率減少の徴候が表われ始めている。日本に於ても欧羅巴と殆んど揆を一にし、一般種痘が行われてから以後約五六十年頃にその徴候が表われ始めてゐる。

そうして陰化然毒が凡ゆる病原となる事を説くに当って先ず今日迄の医学は如何にその根本を誤っていたかという事と、末梢的進歩を真の進歩の如く錯覚していたかといふ事を説いてみよう。

先づ病気とは何ぞやと言う事である。

「病気とは何ぞや」、と言う事程古往今来人類の頭脳を悩ました問題はないであらう。此謎を解かんとして今日迄全世界幾千幾万の医師及び医学者がその一生を捧げた事であろう。而も今以て此謎を解き得た者はないのである。そうして現在迄の説き方によれば、漢方医学に於ては五臓六腑の調和の破綻と謂(い)い、西洋医学に於ては彼のフィルヒョウの細胞衰滅説及び独逸のコッホ、仏蘭西のパスツール等の細菌説である。 故に今日迄の凡ゆる学説は一様にーー病患なるものは「健康の破壊」となし、窮極に於て生命を失うものとされていた。又宗教に於ては「神の戒告」或は「罪穢に対する刑 罰」ともされていた。従而(したがって)病気とは恐るべきもの、悲しむべきもの、呪うべきものと されていたのである。然るに私の説は「病気とは祝福すべきもの、喜ぶべきものであって、全く神が人間に与えた最大なる恩恵であり、又自然の生理作用でもあるというのである。故に病気によって人間の健康は保持され寿齢は延長される」のであるから感謝すべきものである。

此説を読まれた如何なる読者と雖も、その意外なるに驚歎せずには措(お)かないであろう。然し乍ら項を追って読まるるに従い、何人と雖も首肯すべき事を私は信ずるのである。

タイトルとURLをコピーしました