御教え *「無信仰時代」/「東洋美術雑観」(御教え集12号 昭和27年7月7日②)

 それから今「私物語」というのを書いているのですが、これは出来るだけ興味のある話の中に教えも含んでいるのです。一駒だけ出来たのを読ませます。

 よく来る人が、ここの美術館は非常に評判になっていると言うのです。昨日の『読売』に谷川徹三さんの「一日一題」ですか、そういう記事がありましたが、あれは非常に良く書いてある。流石に哲学者だけあって、言う事が非常に公平で、非常に信用の出来る見方です。大変な広告になると思います。普通の広告より効果があります。広告の方は手前ミソですから、見る人がそういう頭で見るからどうも刺激がないが、ああいう人が書くのは非常に信用があるから、非常に良い事だと思う。『芸術新潮』という本は非常に信用があるそうです――近頃の雑誌ですが、その「新潮社」の依頼で、ちょうど今徳川夢声とくがわむせいさんが来て、これから午後美術館を見て、今夜中に記事を出すのだそうです。あの人の活動振りも大したものです。今こう言ってきたのです。あなたは文化デパートだと言ったら、上手うまい表現だと言ってました。喋る、書く――随分単行本も発行してます。よく送って来ます。そしてラジオも新聞も雑誌――なんだかんだと、あの位仕事をする人はないです。夢声さんは私に向かってある程度は先生に共通していると言ってましたから、私も色んな事――色んな仕事をしますが、私は宗教的デパート的ですと言って置きました。あの人は社会的にやっている。その色んな事をドンドン片づけていくところに共通している所もあるにはあります。そんな訳で、『新潮』なんかに出る記事も相当効果があると思います。この間来たフランス人レイモン・カルティエと言う人で、フランスの雑誌の『パリ・マッチ』――これも中々有力な雑誌です。これにも出るはずですから、外国にも相当知れると思います。今月の末にはウォーナー博士も来る事になってます。あの人もああいう方面では、アメリカとしての権威です。外国に知れるのは大いに良いのです。日本に来た外人で箱根に来ない人はないし、箱根に来て美術館を知っている以上は見ない人は無いのです。その点から言っても非常に良いです。で、色々――文化人とかあるいは文部省、法務庁、文化財保護委員会、博物館――ああいう方面の人達も非常に賛意を表しているのです。とにかく国家的に見て最も不足しているものを私の方で造ったのですから、双手もろてを上げて賛成しているのです。ですから私は表彰しても良いと言っているのです。実際国家として表彰しても良い位なのです。で、時期も非常に良いです。時期といい、場所といい、やり方といい、実に旨くやられるのです。それは神様がやられるのです。私はそういう心で思っても、スラスラ出来るものではないから、さすがに神様は上手うまくされると、こう思っているのです。そんな様な訳ですから、メシヤ教というものの信用も大いに高まると思うのです。で、一番面白いのは、どうせ新宗教がそんな生意気に美術館をこしらえたところで、大したものではない。どうせ古臭い宗教的な物でも出すのだ位にしか思っていなかったのですが、実際に見るとびっくりしたのです。全然宗教の臭いはないし、美術館として本当に世間に無い様なものを造ったのですから、ただ本当に驚く他ないという状態です。で、美術館についてパンフレットを作って、来た人にやろうと思って書き始めたのです。これはあんまり専門的では面白くないので、普通――批判的な様な具合に書いたのです。大体これで解るだろうと思います。これは一部ですが、これから段々書く訳です。

タイトルとURLをコピーしました