今回は、東日本大震災で犠牲になった専従者Т氏(私の後輩)が、霊媒体質の女性(Mさん)に憑依した時の話をします。
これは、私が退職する2年~3年前にあった、箱根での奉仕研修での出来事です。Mさんは、元職員でしたが、自分が霊媒体質であるということで、職員として継続していくことが難しいと判断して、若くして退職した方です。私が彼女を知ったのは、新潟から箱根本部に異動になって間もなくのことでした。ある研修で、彼女は体調が悪いといって休んでいたのですが、夜のミーティングで同班のスタッフからの事情説明があって、彼女が霊媒体質であることを初めて知りました。
箱根では、さまざまな奉仕研修が毎月開催されていて、彼女もよく参加していました。参加人数によって異なりますが、何班かに分かれて、それぞれの班に世話役の職員が一人ずつ配置されていました。彼女だけではなく、他にも霊媒体質というのか、霊的な浄化を抱えている方も参加していました。
ただ私が思うに、そういう人たちは、箱根という聖地での奉仕研修に参加する中で、厳しい浄化をお救いいただきたいという、すがる一心で参加しているはずなのに、根本的な解決のために一緒になって取り組みましょうという姿勢というのか、熱意は感じられませんでした。そういう事務所の雰囲気のなかでは、私もでしゃばる訳にもいかず、面倒な人が同じ班にならなければいいなと思っていましたし、数か月間はそういう人たちとは同じ班になることもなく、観察しながら軽くサポートする程度で接していました。
しかし、とうとうある奉仕研修で、Mさんと同じ班になってしまいました。観察していて分かったことですが、霊的な浄化をする人が同じ班に居ると普通の人は余り霊的なことが分からないので、心配してご浄霊はするものの、少し距離を置きながら、職員にお任せしようという空気が漂います。その時もそのような雰囲気で、Mさんはだいたい私のそばで行動を共にしていました。
そして、日光殿での相互浄霊の時間に、一回目の霊罹り現象がありました。私とMさんは、日光殿の床の間近くでご浄霊をしていました。他の班員の人たちは、思い思いの場所で相互浄霊をしていたので、幸いにも私たちのそばには誰もいませんでした。私がご浄霊を始めて5分~6分くらい経過した頃でしょうか、彼女の様子が少し変だなと感じました。その時の様子を会話形式で紹介します。
Mさん「この中に、東北の人はいますか。」(目をつむりながら、ゆっくりと)
わたし(始まったなと思いながら)「○○さん(同班の参加職員)が、確か東北出身だったと思いますよ。」
Mさん「いいえ。違うと言っていますよ。他に居ませんか。」(ゆっくりと)
わたし(ヤバイと思いながら)「私も、東北出身ですけど。」
Mさん「そうですよね。あなたに伝えたいことがあるみたいです。東日本大震災で亡くなった方のようです。」(ゆっくりと)
わたし(思わず)「Tさん?」というと、彼女の様子が急変し、少し間をおいてから、男性の声になって、語り始めました。
Mさん「そうだ。俺は、霊界に来て初めて分かった。救い主は明主様しかいないんだ。生きている時は、俺もそう思っていたし、信者さんにもそう話してきた。しかし、ケタが違うんだ。頭で理解していることと、実際は全然ケタが違うんだ。このことを肚で判っている人は、教団の中には一人もいない。一人もだ。このことをみんなに伝えて、目を覚まさせてくれ。頼む。救い主は明主様ただお一方だけなんだ。キリストや釈迦や他宗の開祖や教祖とは、ケタが違うんだ。このことを一人でも多くの人に伝えて、目を覚まさせてくれ。よろしく頼む。」ということを、ゆっくりと振り絞るように話して来ました。
わたし「分かった。いつか必ず、あなたの想いを一人でも多くの人に伝えて、目を覚まさせるように働くから、もう彼女から離れな。」というと、しばらくして彼女は正気に戻ったようでした。
この霊罹り現象は、はじめは彼女の意識というか、精神といえばいいのかにT氏がコンタクトして、彼女も意識を保ったまま、私とのやり取りがあったのだと思います。恐らくその時点では、「私の意識の中に入ってこないで!私の意識を占領しないで!」というやり取りをしながら、T氏の想いを伝えていたのだろうと思います。後日談として、霊罹りの時は、よくそのようなやり取りをしているということでした。そのような攻防の中でのT氏の意志の伝達なので、ゆっくりとした話し方になったのだろうと思っています。そして途中からは、ほぼ完全に意識を占領されて、T氏が彼女の口を借りて話していたのだろうと思っています。
霊罹りと一口でいっても、さまざまな様相があるようです。罹られた本人に意識があって伝えてくる場合もあれば、罹られた本人が全く覚えていない場合もあるようです。今まで、いろいろな霊罹りの人と関わってきましたが、共通して言えることは、身体が相当にツカレルようです。回復するまでは、個人差はあるようですが、ある程度の時間が必要のようです。ですから、余談ながら「ツカレタ(疲れた)」という言葉は、あまり言わない方が良いようです。
私は、T氏に約束はしたものの、いま教団の誰か偉い人にこの霊罹りのことを話したところで、何かが変わるものではないと感じていました。また、なぜT氏は、私にメッセージを送ってきたのだろうか。教団内で影響力のある偉い先生とか、同期生だとか他にもいろいろご縁のある人がいただろうに、なぜ私に伝えてきたのだろうか。誰一人として肚で判っている人はいないというならば、私だって判っていない一人に違いないのに。更には、ケタ違いのケタがどれほどのものなのか分からないのに、どうやって判らせればいいのか。等々いろいろなことを考えていました。
そして、二回目の霊罹りの現象があったのは、その夜の宿舎での相互浄霊の時でした。今度は、仕切られた部屋で、班員が揃っての相互浄霊でしたので、昼のように、Mさんと私だけという環境ではありませんでした。私が、彼女にご浄霊を始めて少し経った時でした。彼女が「うーっ!」と低いうなり声をあげて、床に両手をついてしまいました。私は、また来たのかという思いでしたが、そのままご浄霊を続けました。彼女は、しばらくその状態でしたが、とうとう耐え切れずに横になってしまいました。恐らく、この短い時間に、彼女はT氏と精神的な格闘をしていたのでしょう。そして、完全に精神を占領されてしまったのでしょう。
「あー、足首まで。あー膝まで津波が来た。もう腰まで。あーもう駄目だ。みんな頼む。後は頼んだぞー。頼んだぞーーう」という絶叫というか、鬼気迫る叫び声をあげて、しばらく荒い呼吸をしていました。そしてその後は、少し冷静になった感じで、昼間に私に言っていたことと同じことを話しました。私は、「いまこのことを誰かに話したところで、あなたが納得するようなレベルで判ってくれる人は一人もいないと思う。あなたも、霊界に行って、はじめてそのケタ違いに気づいたのでしょう。しかし、Tさん、あなたの想いは、魂でしっかりと受け止めましたから、必ず時機を見て、このことの伝道者として、約束を果たしていくので、もう二度と、Mさんに罹る必要はないよ。」ということを、想念でT氏に伝えました。彼女も何も言ってきません。班員の皆さんは、ビックリした状態でご浄霊をしてくれていました。そういう沈黙がしばらく続いたあと、T氏は、私の決意のほどに納得してくれたのでしょう。Mさんから離れたようでした。彼女も、意識が戻ったようでしたが、相当に疲れたようで、起き上がることができず、横になったまま、班員のみんなからご浄霊をしていただいていました。
彼女の意識が戻ったことで、班員の皆さんも安心したのでしょう。いろいろな感想を話しながら、ご浄霊をしていました。ただ、Tさんが訴えていた本当のところに気づいた人は、一人もいなかったと思っています。Mさんが絶叫したことへの驚き、それが東日本大震災で犠牲になったT氏であることに、霊罹りの実体験のない班員の皆さんは驚きの方が優先していたと思います。
そして、翌日の最終日のまとめの時間に、三回目の霊罹りの現象がありました。箱根のトップであるN委員長が話している最中でした。彼女の様子が少し変に感じたので、私は彼女のそばに行って、「大丈夫?」と声をかけて、少し席を離れるように促して、ご浄霊をさせていただきました。
すると彼女は、「鎧を着た武士が見える。」というので、「誰ですか?」と尋ねると、彼女は「分からない。」という返事でした。ここまでは、彼女も何とか平静を保っていれたのだと思います。しかし、段々と精神が占領されていったのでしょう。また、床に手をついてしまいました。私は、「Mさんのご先祖様ですか?」と尋ねると、返事はなく彼女は頭をコクリとさせました。そして、「腹が立って仕方がない。あいつ(N委員長)は何も判っていない。ああいうのが上に立っているからダメなんだ。上の者ほど全然わかっていない。今この場で、大声で言ってやってもいいが、それをしたら、この子(Mさん)が可哀そうだからよすが、本当に情けない。」というようなことを、周囲に気を遣って小さな声で言われたので、私も小さな声で、「あなた様は、明主様とご縁のあったお侍様ですか?」と聞くと、「うむ!」という返事でした。私は、「おっしゃることはごもっともです。私もそう思います。しかし、そのようなことをお伝えくださって、ありがとうございます。しばらく、ご浄霊をさせていただきますので、お浄めをいただいてお帰り下さい。」というと、その後は何も言わず、15分~20分ほどで離れていかれました。
恐らく、私たちは日常生活を送る中で、霊界のことを余り意識していないのではないでしょうか。たとえ意識していたとしても、明主様の救世主としてのけた違いの偉大さを判ってほしいとか、判っていないことに腹を立てているご先祖様がいるということは、考えてもみなかったことでしょう。この体験談は、ほとんど誰にも話していないもので、今回初めて公にしたものです。ご覧になられた方は、静かにお考えいただけたら有難いと思います。考えて判るものではないかも知れませんが、意識の中にあるのと、ないのとでは大きな違いがあると思います。
確かに、教団の偉い人たちは、一つの教団になると明主様に約束しておきながら、その約束を破って平気でいるばかりか、四代教主と主之光教団を追放してしまいました。逆の言い方をすれば、四代教主と主之光教団は、明主様の救いの機関から離れてしまいました。このような現状を思うとき、霊界では腹を立てている祖霊様が大勢いらっしゃるのではないかと思っている次第です。
Mさんとの不思議な体験は、他にもありますので、また別の機会に投稿したいと思います。お楽しみに。
by Mr.Right