
一の世界(栄光111号昭和26年7月4日)
何ぞ知らん、この無とされて来た三分の一の霊界こそ、実は二と三を二つ合せたよりも重要な、基本的力の中心であるから、これを無視しては完全な文明は生れるはずはないのである。何よりも二つの文化が之程発達したに拘かかわらず、人類唯一の欲求である幸福が、それに伴わないのがよくそれを示している。従って今この矛盾の根本を充分検討してみると、これには深い理由のある事を発見するのである。というのはもし人類が、初めから一の霊界のある事を知ったとしたら、物質文明は今日のごとく、素晴しい発達を遂げ得なかったに違いない。何となれば霊界を無視したればこそ、無神思想が生れ、その思想から悪が発生し、その結果善と悪との闘争となり、人類は苦悩に苛さいなまれつつ、ついに唯物文化の発達を余儀なくさせられたからである。これを深く考えれば、全く深甚なる神の経綸でなくて何であろう。