宗教となる迄 (自観叢書九 昭和二十四年十二月三十日)
戦時中の事はあまりかく必要がないが、兎に角、奇蹟の多かった事は素晴しいものであった。戦禍による災害を蒙ったものは殆んど一人もないといってもいい位だ。雨霰と降る爆弾が其人をよけてゆき聊かの被害もなかった話や、煙に取巻かれ、進退谷った時、道案内するかのように、煙の幕の一部に人の通る位の間隙が出来た事や、飛行機から機銃掃射をされたが、弾はその人を除けて前後左右に落下した事など数限りない生命拾いの体験を、毎日のように聞かされたものである。