前回は、祭典日前日の話でしたが、今回は祭典日当日の話をさせていただきます。
祭典日当日は、強羅クリニックが浄化者の受け入れ場所になっていて、全国の療院の医師や看護師さんもローテーションで詰めていました。それに療法士として箱根、熱海、大仁の専従職員が数名と、ご奉仕の信者さんが詰めて対応するという状況でした。
私は、退職する前の一年位はほとんど毎回の御面会日は、このクリニックの担当でした。浄化された方が救護車で運ばれると、先ず担当医が診察室でメディカルチェックを行いますが、自力で椅子に座れないような状態の患者さんは、すぐさま施術室のベッドに運ばれ、そこで問診やメディカルチェックを受けます。その時の内容をナースから引き継いで、重点箇所を確認した上で、私たち療法士が施術するという流れになります。
朝の早い時間帯や運び込まれてくる浄化者が少ない時は、療法士同士で施術したり、ナースにも施術していました。
救急車を必要とするような重症患者はめったにありませんが、中等症程度の浄化者は、大抵は私が担当することになり、軽症の浄化者は他の療法士が担当するという感じでした。その采配は、強羅クリニック所属のナースがしていましたが、長年の経験からくる彼女の浄化者の掌握は見事でした。
運び込まれてくる浄化者の中には、霊的な浄化者もいました。采配するナース自身も霊感の強い人のようでしたが、そういう霊的な浄化者には、眉間や脳天、第七頸椎は重点箇所として当然ですが、「足の裏をよくやって!」と言われたこともありました。そういう意味では、大変いい勉強の場であったと思っています。
関東の信者さんで、療法士のご奉仕をされている女性の方がいました。ほとんど毎回の御面会日にクリニックでご奉仕をされていたので、私は不思議に思い「何故、御参拝されないのですか?」と聞いたことがあります。すると彼女は、「だって、理事長は信仰的な話をしないし、体験発表だって、教団の方針に沿った形に本部で修正されて、真実の内容とは違っているので聞く気にもならない。参拝は、朝早くに一人で済ませているし、それよりここでご奉仕していた方が、よっぽど徳を積ませていただけると思う。」ということでした。私は、なるほどそういう考えの人も世の中には居るんだと思いました。彼女もまた霊感の強い人でした。
あれは、祖霊大祭の時でした。彼女が私にご浄霊を頼んできました。彼女は、施術とは言わずにご浄霊という言い方で頼んできました。私は、「どうしましたか?」とたずねると、「あの先生がここに来てから、誰かが私に憑いたみたいです。あの先生のご先祖様です。」ということを言いました。あの先生とは、祭典日当日のクリニックの責任者として配置された幹部職員のことです。私よりもずっと若いのに幹部になっていた人で、当時の執行部からの信頼も厚かったのでしょう。私から見れば、少し偉そうに感じる人でした。
彼女は、スタッフの休憩室でしばらく自己浄霊をしていました。私は、コーヒーを飲みながら、少しいつもと様子が違うなと感じていました。彼女が言うには、自己浄霊していても、なかなか良くならないので、私に頼んだということでした。開式まで一時間ちょっとという時間でした。
私は、施術室のベッドに仰向けに寝てもらい、眉間と脳天を重点的にご浄霊させていただいたあと、横向きになってもらって、第七頸椎を集中的にご浄霊させていただきました。しかし、なかなか変化が見られません。もう祭典が始まる時間が差し迫っていました。私は、「このご先祖様は、祖霊大祭という年一回の御供養を受けずに、ここでお浄めをいただくつもりなのか。」と思いながら、ご浄霊を継続していました。
しばらくしたら、彼女が大きなあくびを何度かしたので、私は離れたなと思って「どうですか?」と聞くと、「ようやく離れました。しかししつこかったですね。救われていないから光の強いところに行けなかったみたいですね。あの先生は、自分に憑いてきていても鈍感だから分からないし、自分からご浄霊をお願いするような人じゃないから、私のところに来て、お浄めをしていただいてから、御神前に行かれたみたいです。あんなに偉そうにしている先生でも、ご先祖様は救われていないんですね。どんなに偉い立場であっても、徳を積んでないとダメなんですね。だって、あの先生は、信者さんの評判も良くないもの。」などということを、小声で私に話されました。
実は、彼女は前日の午後にも、ご浄霊をお願いしてきて、「紫微宮を出たところで、誰かが憑いて来たけれど、紫微宮の中に入れないご先祖様が大勢いるみたい。紫微宮という名前が良くないと思う。名前が良すぎるのもダメだと思う。だって、第一とか第二天国でしょう。そんなところに行ける人はごく限られた人じゃないの。前の祖霊舎のほうがいいと思う。本当に上の先生方は、霊界のことを何も判っていないんじゃないのかしら。御教えを頭で理解しているだけで、本当の霊的な体験がないから、間違ったことをしてしまうんだと思うわ。」などと話していました。
霊感の強い人というのは、本当にすごいなと思います。私の場合、勤務地が変わっても、こういう人たちとの出会いがあって、いろいろと勉強させていただきました。なかなか経験できないことで、幸運に恵まれたと思います。
また、こういう人たちは、教団内、特にMOAの中では白眼視されることを知っていますので、本当に理解してくれるだろうと思う人以外には、あまり話そうとしない傾向があると思っています。とても残念なことです。
とにかく、本山での祭典日の前日と当日というのは、このような霊的な浄化者へのご浄霊のお取り次ぎにとても忙しい思いをしていました。そして、考えさせられる事例がいくつもあります。
中でも、本山で慰霊供養している施設の名称について、「祖霊舎(又は祖霊殿)」が良いのか「紫微宮」が良いのかという問題です。紫微宮という施設に入れないでいるご先祖様が大勢いるということを、複数の霊的な感性の強い信者さんから聞きましたが、そのような声は上層部には届いていないのでしょう。私も、届けようと思ったこともありません。届けられない組織風土があったと思っています。私自身は、「紫微宮」という名称は時期尚早ではないかと思っています。この名称は、人類救済・地上天国建設という御経綸が進んで、世界中の紛争がある程度治まって、人々が日々幸福を感じられるようになってから、改名しても遅くはないと思っています。
また、偉い先生のご先祖様も救われていないという事情については、大いに反省すべきことだと思っています。無自覚のまま立場にあぐらをかいているような幹部が、非常に多いのではないでしょうか。上層部の先生方は、明主様の奉仕者という原点に立ち返って、もっともっと謙虚になって徳積みに徹底すべきではないかと思いました。しかし、仕方のないことです。そのようなことができない人たちが上層部にいるからこそ、恥ずべき紛争が勃発し、御心に叶った解決が許されないのでないかと思っています。
そして、偉い先生方のご先祖様でも救われていない場合があるとしたら、私たちのような平凡な専従者や信者さんのご先祖様は、救われているのだろうかと思ってしまいます。これは、救われていると信じるか否かという問題ではなく、現実に、紫微宮に入れないとか、光の強いところにはお浄めいただかないといけないという霊の訴えをどのように受け止めるかだと思います。私の体験は、氷山の一角に過ぎないと思っています。
神幽現三位一体のご神業といいますが、私たちは、もっともっと霊界のこと、つまり神界のことや幽界のことについて、学びを深めていく必要があるのではないでしょうか。そのように感じさせていただける体験だったと思っています。
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